林野火災の現場では、「火から逃げる」ことよりも、「煙と熱で動けなくなる」ことが最大のリスクになります。被災地派遣やLOとして山間部火災を経験してきましたが、実際に危険なのは炎よりも、疲労・過呼吸・転倒です。江戸走りの考え方は、林野火災避難に非常に適しています。
■① 林野火災の避難が市街地と違う理由
林野火災では、
・坂道・未舗装路
・煙で視界が悪い
・熱で呼吸が乱れる
という条件が重なります。全力で走ると、数分で動けなくなる人が多いのが現実です。
■② 江戸走りが林野火災避難に向く理由
江戸走りは、
・上下動が少ない
・呼吸が乱れにくい
・足裏で地面を探れる
という特徴があります。煙の中や夜間でも、転倒しにくい動きです。
■③ 現場で見た「走って倒れた人」
山林火災対応で実際にあったのは、斜面を全力で駆け下り、途中で過呼吸を起こして動けなくなった住民です。炎はまだ遠かったのに、体力が先に尽きていました。
■④ 林野火災時の江戸走り実践ポイント
・歩幅は小さく
・体はやや前傾
・腕は振らず自然に
・呼吸は「吐く」を意識
これだけで、熱と煙による体力消耗を大きく抑えられます。
■⑤ 絶対にやってはいけない避難行動
・斜面を駆け下りる
・息を止めて走る
・後ろを頻繁に振り返る
これは転倒・呼吸障害の原因になります。江戸走りは“逃げ続けるための動き”です。
■⑥ 林野火災と風向き変化への対応
林野火災は風向きが急変します。江戸走りのように余力を残した移動であれば、方向転換や退避ルート変更にも対応できます。
■⑦ 自律型避難としての江戸走り
行政の指示を待つ前に、「今、動けるか」「どこまで動けるか」を判断する力が重要です。江戸走りは、自律型避難の動作モデルとして非常に合理的です。
■⑧ 行政側が言いにくい本音
正直に言えば、林野火災では「全員を助けに行けない」場面があります。だからこそ、住民自身が体力を壊さない避難をしてくれることが、結果的に命を守ります。
■まとめ|林野火災は「速さ」より「持続」
林野火災からの避難は、短距離走ではありません。
結論:
江戸走りは、煙と熱の中でも“倒れずに逃げ続ける”ための現実的な避難動作です。
元消防職員として断言しますが、林野火災で生死を分けるのは「最後まで動けたかどうか」です。

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