【元消防職員が解説】防災×行政初動|能登半島地震2年目に見えた“動かなかった組織”の教訓

能登半島地震から2年。
復旧・復興が進む一方で、いま改めて問われているのが「発災直後、行政は本当に機能していたのか」という点です。

災害対応は、被害そのものだけでなく、初動の遅れが人命に直結します。
本記事では、能登半島地震で明らかになった県庁内部の混乱と停滞を、防災の視点から整理します。


■① 災害対応は「最初の数時間」で決まる

地震発生直後の数時間は、
・情報収集
・指揮命令
・人員配置
・国との連携
が一気に動くべき時間帯です。

この初動が遅れると、
・救助開始の遅れ
・物資輸送の停滞
・避難環境の悪化
につながり、結果として災害関連死が増加します。


■② 情報が上がらない組織の危険性

能登半島地震では、
・市町から情報が来ない
・県内からも被害状況が把握できない
という深刻な状態が発生しました。

理由は、
・通信寸断
・リエゾン不在
・情報集約の仕組み不足
です。

「情報がない」のではなく、
情報を取りに行く体制がなかった
ことが問題でした。


■③ 指示が出ないと、人は動けない

災害時、現場は混乱します。
だからこそ必要なのが、
・明確な指示
・優先順位
・権限委譲
です。

しかし、危機管理部門が機能せず、
・オペレーションルームが立ち上がらない
・判断が先送りされる
という事態が起きました。

組織は「トップがいない」「判断がない」状態では止まります。


■④ 災害関連死は“防げる死”

熊本地震では、
直接死よりも災害関連死が4倍以上発生しました。

災害関連死の主因は、
・寒さ
・疲労
・持病悪化
・医療・介護の停止
・避難環境の悪化
です。

これは行政のオペレーション次第で減らせる死です。
初動の遅れは、数字として必ず後から表れます。


■⑤ 「人が集まってから動く」では遅い

地震後、中央省庁の職員が集まり、
県庁は“ミニ霞が関”と呼ばれる状態になりました。

しかし本来は、
・人が集まる前に動いている
・最低限の指揮系統が即時稼働している
必要があります。

人が揃ってから始める災害対応は、
すでに後手です。


■⑥ 組織文化が初動を左右する

報道で象徴的だったのが、
・定時で帰る職員
・非常対応に切り替わらない組織
です。

これは個人の問題ではなく、
・非常時モードが共有されていない
・「非常時は残る」という合意がない
組織文化の問題です。

防災は、制度だけでなく覚悟と文化が問われます。


■⑦ これは他人事ではない

能登半島地震で起きたことは、
どの自治体でも起こり得ます。

・夜間発災
・休日発災
・通信遮断
・トップ不在
これらが重なったとき、
準備不足の組織は必ず止まります。

「次は自分たちの地域かもしれない」
という前提で、検証が必要です。


■⑧ まとめ:検証しなければ、同じことが起きる

✔ 初動は数時間で決まる
✔ 情報は待つものではなく取りに行く
✔ 指示と権限がなければ組織は動かない
✔ 災害関連死は減らせる
✔ 組織文化が生死を分ける

災害を「過去の出来事」にしてしまえば、
同じ失敗は必ず繰り返されます。

防災とは、
備えることと同時に、検証し続けることです。
この教訓を、次の災害に必ず生かさなければなりません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました