【元消防職員が解説】防災×都市ガス|首都直下地震に備える「止める力」と24時間監視の重要性

首都直下地震は、30年以内に70%という高い確率で発生するとされています。強烈な揺れは、建物だけでなく電気・水道・ガスといったライフラインにも直撃します。中でも都市ガスは、ひとたび大量漏えいが起きれば火災などの二次被害を引き起こす危険なインフラです。そこで重要になるのが、「いかに早く、的確に止められるか」という防災の力です。


■① 都市ガス防災の基本は「二次被害を防ぐこと」

大地震発生時、都市ガスで最も恐ろしいのは、揺れそのものよりも火災などの二次被害です。ガス管が破損し、漏えいに気づかないまま着火すれば、被害は一気に拡大します。そのため、地震発生直後にガス供給を止める判断と仕組みが、防災の要となります。


■② 24時間365日監視されるガス供給の司令塔

首都圏約1200万戸にガスを供給する都市ガス網は、常時監視されています。供給設備の稼働状況や地震の揺れを24時間体制で見守り、異常があれば即座に対応する「供給指令センター」が、防災の中核を担っています。ここでは、人の判断とシステムが一体となり、災害対応を支えています。


■③ 世界でも例のないリアルタイム地震防災システム

都市ガスの地震防災の中核となるのが、地震発生時に揺れを数値化し、被害を即座に把握する仕組みです。ガス供給エリアには高密度で地震計が配置され、揺れの強さが短時間で集約されます。これにより、「どの地域を止めるべきか」「どこは供給を継続できるか」を冷静に判断できます。


■④ ガス管網のブロック化が早期復旧を可能にする

都市ガス防災のもう一つの柱が、ガス管網のブロック化です。供給エリアを細かく分割しておくことで、被害が大きい地域だけを停止し、それ以外の地域は供給を続けることができます。かつては現地操作に数十時間かかっていた供給停止も、今では遠隔操作で短時間に行えるようになっています。


■⑤ 耐震化と老朽化対策は切り離せない

地震に強いガスインフラを支えるのは、日々の設備更新です。古い鋳鉄管は、耐震性に優れたポリエチレン管へと順次置き換えられています。これは地震対策であると同時に、老朽化対策でもあります。災害対策は、平時の地道な更新作業の積み重ねによって成り立っています。


■⑥ 大規模災害時の「止める・守る・復旧する」

東日本大震災では、強い揺れを感知した地域で各戸のガスメーターが自動遮断し、多くの命と住宅を守りました。その後は、全国のガス事業者が連携し、復旧作業にあたりました。防災には、「予防」「緊急対応」「復旧」という三つの段階があり、どれも欠かせません。


■⑦ 他のライフラインとの連携が命を守る

都市ガスの防災は、ガス事業者だけで完結しません。電力、通信、水道、自治体と情報を共有しながら、被害拡大を防ぐ体制が構築されています。災害対応は、単独ではなく「連携」で強くなります。


■⑧ 私たちが理解しておくべきポイント

都市ガスは、地震時に「止まること」が安全につながるライフラインです。
・地震後にガスが止まるのは異常ではない
・安全確認が取れるまで再開しないのは命を守る行動
・復旧には時間がかかる前提で備える
この理解が、不安や誤解を減らします。


首都直下地震に備える防災は、見えない場所で続けられています。都市ガスの安全対策は、「止める勇気」と「守り続ける仕組み」の集合体です。私たち一人ひとりが、その役割と意味を知ることも、防災の一部と言えるでしょう。

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