2025年12月19日、中央防災会議の「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」は、新たな被害想定を公表しました。冬の午後6時、風速8メートルの条件で都心南部直下地震が発生した場合、震度7の揺れが東京・神奈川を中心に直撃する想定です。全壊・焼失は約40万2千棟、そのうち地震火災による焼失は約26万8千棟と、木造密集地での延焼が際立つ結果となりました。人的被害は、建物倒壊等による死者約5,300人、火災による死者約1万2,000人を含め、総数は約1万8,000人に達すると推計されています。
■① 火災による被害の現状
- 首都直下地震では、死者の約7割が火災起因。
- 木造住宅密集地域や道路幅が狭く消防車が到着しにくい地域で延焼が拡大。
- 火災の主な原因は、倒れた家電や損傷した配線など電気設備。
■② 感震ブレーカーの効果
- 感震ブレーカーは揺れを感知すると自動的に電気を遮断し、電気火災を防ぐ装置。
- 設置率50%で焼失棟数は約19万3千棟、死者約8,700人に減少。
- 設置率100%で焼失棟数は約7万4千棟、死者は約3,400人に抑制可能。
- 火災による犠牲を約7割減らす効果が科学的に確認されている。
■③ 現状の課題と普及率
- 首都近郊の設置率は約20%にとどまる。
- 法的義務がなく、ガイドラインや推奨策にとどまっており、市場インセンティブが不十分。
- 消防庁・経産省・国交省の縦割りにより、普及が進まない制度的ボトルネックが存在。
■④ 耐震化・家具固定の重要性
- 木造密集地では建物の耐震化と家具固定が初期火災拡大防止に直結。
- 家具の転倒や落下による出火を防ぐことで、避難行動の安全性も確保可能。
- 元消防職員の現場経験から、倒壊や火災時の二次被害を防ぐ基本的な備えとして最重要。
■⑤ 制度的整備の提案
- 長期目標として、設置率100%を政策目標に基本計画に明記。
- 木造密集地・防火地域・新築住宅を優先し、段階的に標準装備化。
- 消防庁・経産省・国交省が連携し、性能基準と補助制度を統一。
■⑥ 地域訓練と住民参加
- 初期消火や避難行動訓練を住民主体で実施し、火災拡大を最小限に抑える。
- 木密地域では消防車到着までの時間が長いため、住民が自ら火災抑制行動を取ることが重要。
- 日頃からの防災意識と行動力が、災害時の被害軽減に直結。
■まとめ|火災被害を6割以上減らす具体策
首都直下地震では、火災による被害が全体の大部分を占めることが想定されます。感震ブレーカーの普及、建物耐震化、家具固定を組み合わせることで、死者数や焼失棟数を大幅に減らすことが可能です。制度的整備と住民訓練、地域連携の強化が、火災犠牲を最小化する鍵となります。
結論:
防災×首都直下地震では、「感震ブレーカー設置」「耐震化」「家具固定」の三本柱が火災被害を大幅に減らす最重要策です。
元消防職員として現場を見てきた経験から、住民の自助意識と制度的整備の両立が、災害時に命を守る決定的要素であることを強く感じます。

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