【元消防職員・防災士が解説】防災×トイレ|ラップ式簡易トイレだけで足りる?被災地で見えた限界と併用の考え方

災害時のトイレ対策として注目されるラップ式簡易トイレ。
実際に被災地派遣やLOとして現場に入る中で、その有効性を感じる一方、
「これだけで本当に足りるのか?」という課題も見えてきました。

本記事では、ラップ式簡易トイレの限界と、現実的な併用戦略について整理します。


■① ラップ式簡易トイレの「できること」と「できないこと」

ラップ式簡易トイレは、

・水不要
・臭気を閉じ込める
・衛生的に処理できる

という点で非常に優秀です。

一方で、

・連続使用には消耗品が必要
・処理袋の保管場所が必要
・家族全員分だと使用回数が膨大

という制約もあります。

被災地では「性能が高い=万能」ではないと痛感しました。


■② 被災地で実際に起きた“トイレの詰みポイント”

現場でよく見たのが次のケースです。

・本体はあるがフィルムが足りない
・ゴミ回収が滞り保管に困る
・高齢者が操作をためらう

特に避難生活が長期化すると、
使いやすさより「継続できるか」が重要になります。


■③ 凝固剤トイレとの併用が現実的な理由

多くの避難所や家庭で現実的だったのは、

・ラップ式(衛生・臭気対策)
・凝固剤トイレ(大量使用・簡便)

併用です。

ラップ式は、

・体調不良時
・介護が必要な家族
・夜間や屋内使用

など、限定的・重要シーンに回す運用が現実的でした。


■④ 「全員分×日数」で考えると見える現実

防災トイレは、必ず数で考える必要があります。

例:
4人家族 × 1日5回 × 7日
=140回分

ラップ式で全てを賄おうとすると、
フィルム・電源・保管場所の問題が一気に表面化します。

被災地では、
“良いトイレを少数”より“使えるトイレを十分量”が優先されました。


■⑤ 在宅避難と避難所で分けて考える

ラップ式簡易トイレは、
在宅避難との相性が非常に良いです。

・プライバシー確保
・保管スペースがある
・家族でルールを決められる

一方、避難所では、

・大量使用
・管理の簡素さ
・説明不要

が求められるため、役割分担が重要になります。


■⑥ トイレ対策は「思想」で決まる

被災地で感じたのは、
トイレ対策は物ではなく考え方だということです。

・我慢させない
・汚させない
・迷わせない

この3つを満たす構成を考えると、
ラップ式は切り札の一つとして非常に有効です。


■⑦ 今日できる最小の防災行動

・家族1人あたりの1日回数を書き出す
・7日間で何回必要か計算する
・「主力」と「補助」を分けて考える

トイレは準備量を間違えると、
最初に生活が崩れます。


■まとめ

ラップ式簡易トイレは、
災害時に確実に役立つ高性能な選択肢です。

しかし、
それだけに頼ると足りなくなるのも現実でした。

被災地で機能したのは、
・役割分担
・併用
・使う場面を決めておくこと

防災は「全部を完璧に」ではなく、
壊れにくい組み合わせを作ることが本質です。

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