【元消防職員・防災士が解説】防災×ビル管理③|“災害に強いビル管理”を実現するための必須ポイント

ビル管理は、清掃や設備点検だけでは不十分。
災害が増える現代では「防災目線で守れるビル」にすることが求められる。
ここでは、ビルの安全性を大きく底上げするための実践ポイントをまとめる。


■① 年2回の“災害専用点検”を設ける

通常点検とは別に、防災専門のチェックを行うことで弱点が一気に見える。

● 非常照明・誘導灯の点灯チェック
● 防火戸・防火シャッターの動作
● 排煙設備の作動確認
● 非常階段の通行性
● 倒れやすい什器の固定状況

“災害時に本当に動くか”を確認する点検が必要。


■② 防火区画の崩壊を許さない

どれだけ設備が充実していても、防火区画が壊れていれば火災は広がる。

● 防火戸の開放固定を禁止
● スキマ・破損の即修理
● 通路に物を置かないルール徹底
● テナント改装時の区画チェック

災害が起きてからでは区画は守れない。
日常管理こそ最重要。


■③ 非常用電源の確保は“ビルの生命線”

停電が長期化すると、ビルは一気に機能を失う。

● 非常用発電機の燃料残量
● 定期負荷運転(年1回は必須)
● 換気扇・ポンプ・エレベーターの動作確認
● バッテリー交換時期の管理

発電機が止まれば、ビル全体が“災害弱者”となる。


■④ テナント管理が“防災力”を決める

多くのビルで問題となるのがテナントの管理不足。

● 避難通路の物品放置
● スプリンクラー下への商品積み上げ
● 排煙窓を塞ぐポスター
● 配線の過負荷

テナントに“防災ルールの義務化”を行うだけで、ビル全体の安全度が大幅に向上する。


■⑤ 水害対策はビル管理でも必須

地下階があるビルは、水害で最も危険な建物のひとつ。

● 止水板の設置・保管場所の明確化
● 排水ポンプの稼働確認
● 地下電気室の防水強化
● 雨量情報の監視体制

水害は「1回入っただけで機能停止」する恐ろしい災害。
ビル側の事前対策が必ず必要。


■⑥ エレベーター停止を“前提”にした計画

災害時にエレベーターは必ず止まる。

● 閉じ込め時の救出フロー
● 乗務員・管理員の初動行動
● 点検業者との連絡手順
● 停止中の館内案内 → 特に高齢者

フェーズごとの行動を決めておくと混乱を防げる。


■⑦ 避難訓練は“実動型”にしなければ意味がない

形だけの避難訓練では、災害時に全く役に立たない。

● 夜間版・休日版の訓練を実施
● 火災・地震・停電・水害など複数想定
● エレベーター停止を想定した避難
● 警備員・テナントを交えた総合訓練

特に高層ビルでは訓練の質が安全性を左右する。


■⑧ “情報共有”できる管理体制を作る

災害時に強いビルは、情報の流れが止まらない。

● 管理室 → テナント → 従業員の情報共有
● 緊急時連絡網の更新
● LINEオープンチャットなどのデジタル活用
● 非常時の館内放送原稿の作成

素早い情報発信は人命に直結する。


■まとめ|ビル管理の防災力は“日常の積み重ね”で決まる

ビルは放置すれば劣化し、災害時に必ず弱点が露出する。
しかし、管理体制を少し強化するだけで安全性は劇的に上がる。

● 災害専用の点検
● 防火区画の維持
● 非常電源の確保
● テナント管理
● 水害対策
● 訓練の実動化

“安全なビル”は偶然ではなく、日常の管理で作られる。
これが災害に強いビル管理の本質である。

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