「救急車を呼ぶほどではないけど、自分では動けない」
「病院まで安全に搬送してほしい」
そんなときに活躍するのが 民間救急 です。
元消防職員として現場に立ってきた経験、
そして被災地派遣の中でも、
公的救急と民間救急の役割分担の重要性を強く感じてきました。
■① 民間救急とは何か?
民間救急とは、
消防(119)とは別に、民間事業者が行う患者搬送サービスです。
正式には
「一般乗用旅客自動車運送事業(患者等搬送事業)」
として各自治体に認可されています。
主な特徴
- 119番ではない(緊急出動ではない)
- 原則 有料
- 事前予約・相談が可能
- 医療行為は行わない(※一部例外あり)
👉 救急車とタクシーの中間的存在 と考えると分かりやすいです。
■② 119救急との決定的な違い
ここが最も重要なポイントです。
119救急
- 命の危険があると判断された場合に出動
- 無料
- 緊急性・重症度を最優先
- 出動中は他の要請に応じられない
民間救急
- 命の危険がないケースが前提
- 有料
- 利用者の状況・都合に合わせて対応
- 予約・付き添い・時間指定が可能
👉 役割がまったく違う という点が重要です。
■③ 民間救急が活躍する具体的な場面
現場経験上、民間救急が本当に役立つ場面は多くあります。
よくある利用例
- 退院時の自宅・施設への搬送
- 通院時の移動が困難な高齢者
- 車いす・ストレッチャー利用が必要な移動
- 夜間・休日の病院間搬送(緊急性なし)
- 災害後の通院・施設移動
被災地では、
「119を呼ぶほどではないが、移動手段がない」
という人が多数いました。
その“隙間”を埋めるのが民間救急です。
■④ なぜ今、民間救急が重要なのか
背景には、日本社会の構造変化があります。
- 高齢化の進行
- 独居世帯の増加
- 慢性疾患を抱える人の増加
- 救急出動件数の増大
消防現場では、
軽症・非緊急の出動が救急車を圧迫しています。
民間救急を適切に使うことで、
- 本当に重症な人に119救急を集中できる
- 救急隊の疲弊を防げる
- 医療資源全体を守れる
👉 これは 防災の視点でも極めて重要 です。
■⑤ 被災地で見た「移動できない人」の現実
被災地派遣(LO)として現場に入った際、
強く印象に残ったのがこの言葉です。
「命は助かったけど、病院に行けない」
道路寸断、公共交通停止、家族不在。
こうした状況では、移動そのものが命に関わる問題になります。
民間救急や福祉搬送があることで、
- 通院
- 施設移動
- 仮設住宅への搬送
が可能になり、
「助かった命を守り続ける」役割を果たします。
■⑥ 民間救急を使うときの注意点
便利な反面、知っておくべき注意点もあります。
- 医療行為は原則できない
- 症状が急変した場合は119対応に切り替え
- 料金体系は事業者ごとに異なる
- 自治体認可の事業者か必ず確認
👉 「救急車の代わり」ではなく
「役割が違う搬送手段」として理解することが大切です。
■⑦ 防災の視点で見る民間救急の価値
防災とは、
「災害時だけの話」ではありません。
- 日常から医療・搬送を整理する
- 限られた救急資源を守る
- 社会全体で命を支える仕組みを作る
民間救急はその一部です。
■まとめ|民間救急は“もう一つの備え”
民間救急は、
119救急を否定する存在ではありません。
むしろ、
- 119を守る
- 医療を守る
- 命の優先順位を守る
ための 重要な補完役 です。
元消防職員・防災士として断言します。
「どこに、何を頼るか」を知っていること自体が、
立派な 防災力 です。
民間救急を知ることは、
あなた自身と、社会全体の命を守る備えになります。

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