【元消防職員・防災士が解説】防災×自律型避難の裏側|「助からなかった判断」に共通していた静かな落とし穴

これまで、
「助かった家」の共通点を見てきました。

では逆に、
助からなかった、あるいは危険な状態に陥った判断
には、どんな共通点があったのか。

ここには、
派手ではないけれど極めて致命的な
「静かな落とし穴」が存在します。


■① 助からなかった判断は「間違っていない」

まず強調しておきます。

危険な結果を招いた判断の多くは、
間違った判断ではありません。

・情報を確認した
・周囲に配慮した
・様子を見た

どれも、
平時なら「正しい行動」です。

問題は、
災害時にやったことです。


■② 一番多かった落とし穴は「もう少し」

現場で最も多かった言葉は、
これです。

「もう少し様子を見てから…」

・揺れが収まったから
・みんな残っているから
・情報が揃っていないから

この「もう少し」が、
取り返しのつかない差を生みます。

時間は、
災害時にだけ残酷になります。


■③ 情報収集が“避難を遅らせる凶器”になる瞬間

助からなかったケースでは、

・テレビをつけ続けた
・スマホで調べ続けた
・SNSを見比べ続けた

という共通点がありました。

情報は重要です。
しかし、

避難判断のあとに使うもの
です。

避難前の情報収集は、
判断疲れを加速させます。


■④ 「正解を探す人」ほど危険になる

助からなかった判断に共通するのは、

・正解を探している
・間違えたくない
・後悔したくない

という心理です。

災害時に、
完璧な正解は存在しません。

それでも正解を探し続けると、
動かないことが唯一の選択
になってしまいます。


■⑤ 家族会議が始まった瞬間、危険度は跳ね上がる

危険な兆候として、
はっきり言えることがあります。

家族会議が始まったら、遅れ始めている。

・どうする?
・あなたはどう思う?
・みんなで決めよう

この状態は、
自律型避難が崩れているサインです。


■⑥ 避難服がなかった家は「戻る理由」が増えた

避難服が整っていない家では、

・着替えたい
・寒い
・恥ずかしい

という理由で、
一度出た後に戻るケースが目立ちました。

戻る理由が多い家ほど、危険度が高い。

避難服は、
判断だけでなく「後戻り」を防ぐ装備です。


■⑦ 子どもが「大人の迷い」を背負ってしまう

助からなかったケースでは、

・子どもが不安定
・泣き出す
・動けなくなる

場面が多く見られました。

原因は一つです。

大人が迷っていた。

子どもは、
状況ではなく
大人の表情を見ています。


■⑧ まとめ|危険な判断は「善意の顔」をしている

助からなかった判断の多くは、

・冷静
・配慮
・慎重

という、
一見すると立派な顔をしています。

だからこそ厄介です。

自律型避難は、
その「善意の落とし穴」を
事前に避けるための防災です。

・もう少し、をやらない
・正解を探さない
・会議をしない
・戻らない

これを平時に決めておく。

それだけで、
災害時の行動は
静かに、しかし確実に変わります。

防災とは、
勇気でも知識でもなく、
迷いを排除した設計です。

その設計がある家だけが、
本当に危険な瞬間を
何事もなかったかのように
通り抜けられるのです。

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