「自分は大丈夫」
「まだ様子を見ていい」
災害時、この言葉が頭に浮かんだ瞬間、
人は最も危険な状態に入ります。
これは意志の弱さではありません。
人間に備わった“正常性バイアス”という仕組みです。
■① 正常性バイアスとは何か
正常性バイアスとは、
・都合の悪い情報を小さく見積もる
・日常が続くと無意識に信じる
・危険を過小評価する
人間の脳の働きです。
災害時、
このバイアスがかかると、
「今回は大丈夫だろう」
という判断が、無自覚に選ばれます。
■② 防災に詳しい人ほど陥る理由
意外ですが、
防災に詳しい人ほど正常性バイアスが強く出る
ことがあります。
・過去事例と比較する
・想定の範囲内か評価する
・確率論で考える
その結果、
「想定より弱い」
「前回より小さい」
と判断し、
行動が遅れます。
■③ 自律型避難は「バイアス対策」でもある
自律型避難の本質は、
・自分で判断する
ではなく、
・迷わず動ける状態を作る
ことです。
正常性バイアスは、
考え始めた瞬間に強くなります。
だからこそ、
・考えない
・手順を決めておく
これが重要になります。
■④ 判断を自動化するとバイアスは弱まる
バイアスに勝つ最も確実な方法は、
・条件を決める
・行動を固定する
ことです。
例えば、
・揺れたら着替える
・警戒レベル3で準備
・違和感を感じたら外へ
判断を「条件反射」に近づける
ことで、
迷いが消えます。
■⑤ 避難服はバイアスを壊すスイッチ
避難服を着る行為は、
・心理的な切り替え
・非常モードへの移行
を強制します。
「着替えた=出る準備ができた」
この状態になると、
正常性バイアスは一気に弱まります。
■⑥ 「準備している人」はバイアスに気づきやすい
避難服・持ち出し袋が整っている人は、
「準備しているのに、使わない理由は?」
と自分に問いかけられます。
この違和感が、
バイアスから抜け出すきっかけになります。
■⑦ 家族で決めておく一言ルール
おすすめなのは、
家族で一つだけ決めること。
・「迷ったら出る」
・「先に動いた人に合わせる」
・「着替えたら止めない」
この一言があるだけで、
集団の正常性バイアスを崩せます。
■⑧ まとめ|自律型避難は「人間の弱さ」を前提にする
防災は、
強い意志を持つ人のためのものではありません。
・迷う
・ためらう
・先延ばしにする
人間の弱さを前提に設計する
これが実践的な防災です。
避難服を準備する。
行動条件を決める。
家族で一言を共有する。
これらはすべて、
正常性バイアスを乗り越えるための仕組みです。
自律型避難とは、
勇気ある判断ではなく、
迷わない仕組みなのです。

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