自律型避難の話を続けていると、
必ず出てくる違和感があります。
「結局、生き残ればいいのでは?」
現場にいた立場から、はっきり言います。
防災の本当のゴールは“生き残ること”ではありません。 “日常に戻ってこれること”です。
■① 生き残ったのに壊れてしまうケース
災害後、実際に多いのは次の状態です。
・命は助かった
・家族も無事だった
・しかし生活が崩れた
原因は、
・避難が長引いた
・精神的消耗が激しかった
・人間関係が壊れた
これは、防災が途中までしか機能していない状態です。
■② 自律型避難は「生活を壊さない避難」
自律型避難が目指すのは、
・最短で逃げる
ではなく、
・最小限のダメージで戻る
ことです。
・過剰に怖がらない
・必要以上に動かない
・回復可能な位置で止まる
これができる人ほど、
日常復帰が早い。
■③ 避難服が守っているのは「尊厳」
避難生活で一番削られるのは、
体力ではありません。
尊厳です。
・着替えられない
・寒さ暑さに耐える
・人目を気にする
これが積み重なると、
人は急速に弱ります。
避難服は、
体温以上に
「人としての感覚」を守っています。
■④ 強い人ほど「頑張らない」
災害後に回復が早い人の特徴は、
・我慢しない
・無理をしない
・助けを選ぶ
です。
逆に、
・耐えれば何とかなる
・迷惑をかけたくない
この思考は、
回復を遅らせます。
自律型避難は、
頑張らなくて済む設計です。
■⑤ 家族関係が壊れなかったかが最大の評価軸
防災の出来栄えは、
・被害の大小
ではなく、
・災害後の家族関係
で測れます。
・責め合いがなかった
・空気が荒れなかった
・会話が続いていた
これが残っていれば、
防災は成功です。
■⑥ 子どもが「また一緒に暮らせる」と感じたか
子どもにとって重要なのは、
・安全だった
よりも、
・元に戻れた
という感覚です。
・家に帰れた
・生活が再開した
・親が壊れていなかった
この記憶が、
次の災害時の行動を安定させます。
■⑦ 自律型避難は「英雄を作らない」
現場で危ういのは、
・誰かが頑張りすぎる
・誰かが背負い込む
状態です。
自律型避難は、
・英雄が出ない
・責任が集中しない
・語る武勇伝がない
それが正解です。
■⑧ まとめ|防災の成功は「戻れたか」で決まる
防災の最終評価は、
・逃げ切ったか
ではありません。
「元の生活に、無理なく戻れたか」
これだけです。
静かに動き、
必要なだけ避難し、
淡々と戻る。
それができた人は、
強い。
自律型避難とは、
生き残る技術ではなく、
人生を続けるための防災です。
だからこそ、
派手である必要はない。
静かで、
淡々としていて、
忘れられる。
それが、
本当に価値のある
防災の姿です。

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