【元消防職員・防災士が解説】防災×避難所改革|「雑魚寝」から一歩進むために必要な視点

避難所は100年変わらない。

そう言われることがあります。

その象徴が「雑魚寝」です。

体育館に毛布。
区画もなく横一列。

確かに、これが長く続いてきた現実です。

だから「ベッドが必要だ」という議論が出てきます。

しかし――

発災直後は、どうしても限界があります。

ここに防災の本質があります。


■① 発災直後は“理想”より“命”

大地震直後は、

・余震継続
・物資未到着
・人員不足
・情報不足

この状態です。

私も被災地派遣で、体育館を開設した経験があります。

最初は、
「とにかく全員を安全に収容する」

それが最優先でした。

ベッドより、
区画より、

まずは命。

これは現実です。


■② しかし“仕方ない”で止まってはいけない

問題はここからです。

発災直後は仕方ない。

しかし数日経っても、
数週間経っても、

ずっと雑魚寝のまま。

これが、
避難所が進化しない原因です。

「仕方ない」が常態化すると、
改善は止まります。


■③ 雑魚寝が生む二次被害

雑魚寝環境では、

・感染症拡大
・エコノミークラス症候群
・睡眠不足
・ストレス増大

が起きやすくなります。

能登半島地震でも、
避難生活の長期化が課題となりました。

命を守った後、
命をつなぐ環境が必要です。


■④ ベッドは“贅沢”ではない

段ボールベッドや簡易ベッドは、

・床冷え防止
・ほこり吸入軽減
・プライバシー確保

に効果があります。

現場で感じたのは、

「高さ20cm」が命を守る

という事実です。

床から体を離すだけで、
体調悪化は減ります。


■⑤ 防災に正解はない

防災に絶対の正解はありません。

あるとするならば、

“臨機応変”

です。

初動は簡易対応。
その後は段階的改善。

これが現実的な進化です。


■⑥ 今までの延長では変わらない

従来型の避難所は、

・一斉収容
・横並び配置
・最低限生活

という設計思想でした。

しかし災害は激甚化し、
避難は長期化しています。

100年前と同じ構造では、
限界があるのは当然です。


■⑦ 「仕方ない」を超える一歩

避難所改革は、

完璧を目指すことではありません。

まずは、

・区画を作る
・ベッドを導入する
・ゾーニングを工夫する

小さな改善。

私はLOとして自治体と連携した際、
「少しでも改善しよう」という姿勢が
現場の空気を変えるのを見ました。

一歩踏み出すと、
空気が変わります。


■⑧ 結論:山を越える

発災直後は仕方ない。

しかし、
そこに留まらない。

「何とかなる」に変える努力。

その山を越えたとき、
避難所は一歩前に進みます。

防災は完璧を求めるものではありません。

改善を止めないこと。

それが、
命を守り、命をつなぐ防災です。


【出典】
内閣府「防災基本計画」

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