【防災士が解説】「働くパパママ川柳」で見える時代の変化|家族の形は“チーム化”している

「働くパパママ川柳」は、ただの面白い投稿ではありません。言葉の中に、その時代の家族の悩み・工夫・価値観がそのまま残ります。
分析結果を見ると、ここ9年で「負担への気づき」→「家庭内シェア」→「チーム育児」へと、家族の運営が確実に変わってきました。防災の視点でも、この変化は“家庭の強さ”に直結します。川柳に表れた変化を8つに整理します。


■① 「川柳」は暮らしのセンサーになる

川柳は、データよりも早く“空気の変化”を拾います。
何が負担なのか、何が当たり前になったのか、何が新しい常識として定着したのかが、5・7・5に凝縮されます。家族観や結婚観の揺れも、言葉として可視化されるのが強みです。


■② 第1フェーズ(2017〜2019年)「負担の気づき」

この時期は、育児や家事が「ママ側に偏りがち」という現実が前面に出ています。
カバンに仕事道具とオムツが同居するような日常、繁忙期の食事が単調になる現実、育休を取っても“追加の手がかかる”という戸惑い。
家族の中で見えにくい負担が、言葉になって表に出た段階です。


■③ 第2フェーズ(2020〜2022年)「家庭内シェア再構築」

コロナ禍で生活の場が家に寄り、家事育児の“名もなき仕事”が共有されやすくなりました。
テレワークや会議のミュートの隙間で家事を回す、離乳食や子ども対応が日常の中心に組み込まれる。
このフェーズは、分担というより「家庭運営の設計を作り直した」時期です。


■④ 第3フェーズ(2023年〜)「チーム育児」へ

近年は、家族を“チーム”として捉える空気が強まっています。
AIで献立を決める、読み聞かせを補助してもらう、キャッシュレスがおままごとに入り込む。生活に技術が溶け込み、役割も固定されにくくなりました。
家族全体で回す前提が、川柳の中に自然に現れています。


■⑤ ワードの伸びが示す「普通の変化」

「パパ育休」が約1.7倍に増え、「テレワーク」は約25倍という伸びが示されました。
つまり、育児参加は“特別な出来事”ではなくなり、働き方は“家庭の事情に合わせて変える”方向へ進んだということです。
「イクメン」という言葉が死語になった感覚も含め、価値観が「称賛」から「当たり前」へ移っています。


■⑥ 結婚観・家族観の多様化は「折れにくさ」を作る

『あなたが幸せなら、それでいい』という空気が広がり、結婚の形や家族の形が多様化しています。
防災の視点で見ると、家族の形が一つではないことは弱点ではなく、むしろ“現実に合わせて組み替えられる強さ”になります。
在宅避難や長期避難では、正解が一つではないからこそ、選べる幅が大きい家庭ほど折れにくいのが実感です。


■⑦ 「第4フェーズ=社会で育てる」へ戻る動き

迎えを代わる上司、地域の見守り隊など、「社会で子どもを育てる」発想が再び注目されています。
被災地派遣やLOとして現場に入ったとき、実際に支えになったのは“制度”だけでなく“人のつながり”でした。
避難所でも在宅避難でも、子どもを含む家族が安定している地域は、声かけや役割分担が自然に回っていました。日常の延長にある支え合いが、非常時にそのまま機能します。


■⑧ 防災の実務から見た「家庭チーム化」の価値

家庭がチーム化すると、災害時の判断が速くなります。
誰が何をするかが曖昧だと、非常時は沈黙と停滞が起きます。逆に、普段から分担と共有が進んでいる家庭ほど、停電・断水・情報不足の中でも動き出しが早い。
川柳に出る変化は、社会の雰囲気だけでなく、家庭の“危機耐性”そのものを上げている変化でもあります。


■まとめ|言葉の変化は、家族の強さの変化

「働くパパママ川柳」からは、家庭が「気づき」→「再構築」→「チーム化」へ進んでいる流れが見えます。
この変化は、日常の暮らしを楽にするだけでなく、非常時に家庭が崩れにくくなる土台にもなります。

結論:
家族がチームになるほど、日常も非常時も“回復が早い家庭”になっていく。
防災士として現場を見てきた実感として、避難生活が長引くほど「家族内の役割と共有」が効いてきます。支え合いができる家ほど、体調もメンタルも崩れにくいのが現実でした。

出典:TBS NEWS DIG「『働くパパママ川柳』で浮かび上がる“時代の変化” 家族観と結婚観はどう変化?【Nスタ解説】」(2026年2月27日)

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