防災教育では「自分で考え、動くこと」が大切だと伝えられます。しかし防災の現場で必ず直面するのが、「動きたくても動けない」「動くことが難しい」人の存在です。この現実を無視した防災は、かえって人を追い詰めます。ここでは、防災士の立場から「動けない人」を前提にした防災教育の視点を整理します。
■① 動けないのは「意志が弱いから」ではない
高齢、障がい、病気、妊娠、怪我、精神的ショック。
動けない理由は多様で、本人の努力ではどうにもならないこともあります。
■② 災害時、人は想像以上に動けなくなる
平時に元気な人でも、
恐怖・混乱・疲労・情報不足によって、判断や行動が止まることがあります。
これは異常ではなく、自然な反応です。
■③ 防災教育は「全員が動ける前提」をやめる
全員が同じように行動できるという前提は、現場では崩れます。
動けない人がいることを前提にした教育こそが、現実的です。
■④ 動けない人を責めない文化が必要
「なぜ動かなかったのか」という問いは、現場を硬直させます。
防災教育では、「どう支えればよかったか」に視点を移す必要があります。
■⑤ 動ける人が「補う」ことが防災力
自律型避難とは、全員が自立することではありません。
動ける人が動けない人を自然に補う状態こそが、強い防災です。
■⑥ 小さな行動も立派な「動く」
声をかける、場所を譲る、情報を伝える。
身体的に動けなくても、防災に参加できる行動はあります。
■⑦ 防災教育で伝えるべき大切なこと
「動けない人がいて当たり前」
「助け合う前提で考える」
この認識が、防災を優しいものに変えます。
■⑧ 動けない経験が防災を深める
支えられる側の経験をした人ほど、
次に誰かを支える存在になります。
これも防災教育の大切な循環です。
■まとめ|動けない人を含めて防災は完成する
防災は、強い人だけのものではありません。
結論:
「動くことが難しい人」を前提にしてこそ、本当の防災教育になる
防災士として、動けない人を責めなかった現場ほど、雰囲気が落ち着き、結果的に多くの人が救われていました。
防災教育の役割は、人を追い立てることではなく、支え合える土台をつくることです。

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