【防災士が解説】エスカレーター事故が示した教訓 「安全装置がある前提」の危うさ

北海道小樽市のスキー場で発生した、屋外エスカレーターによる5歳児死亡事故は、多くの人に強い衝撃を与えました。機械整備に異常はなかったとされる一方で、本来作動すべき自動停止装置は機能せず、尊い命が失われました。この事故から、防災・安全の視点で何を学ぶべきかを整理します。


■① 事故の概要と何が起きたのか

屋外に設置されたベルトコンベアー式エスカレーターで、幼児が転倒し、腕が隙間に挟まれました。本来は異物混入などで自動停止する構造でしたが、実際には作動せず、最終的には保護者が緊急停止ボタンを押して停止しました。


■② 「整備に異常なし」と「安全」は別問題

事故後の説明では、機械整備自体に異常はなかったとされています。しかし、整備上の異常がないことと、実際に人命を守れる安全性が確保されているかは別問題です。安全装置が作動しなかった事実こそが、最大のリスクです。


■③ 自動停止装置は“最後の砦”

エスカレーターの自動停止装置は、人が異常に気づく前に事故を防ぐための「最後の砦」です。これが作動しなかった場合、被害は一気に深刻化します。人の判断や操作に依存する安全対策には限界があります。


■④ 運用の変更が生んだ新たな危険

事故のあった施設では、過去の停止トラブルを受けて、利用者の降り方を変更する運用が行われていました。安全対策としての運用変更が、結果的に別のリスクを生んでいた可能性は否定できません。


■⑤ 同型設備でも「人の配置」で差が出た

同様のエスカレーターを導入している別のスキー場では、営業前点検の徹底や、乗り場・降り場への監視員配置が行われていました。その結果、自動停止装置が正常に作動し、重大事故には至っていません。


■⑥ 子どもが利用する設備の前提を見直す

子どもは予測不能な動きをします。転倒、立ち止まり、ふらつきは想定内です。にもかかわらず、「通常利用」を前提にした設備運用は、重大事故につながります。子どもが使う場所では、より厳しい安全基準が必要です。


■⑦ やらなくていい安全の思い込み

「安全装置があるから大丈夫」「これまで大きな事故がなかったから安心」という考え方は危険です。事故は、想定外が重なったときに起きます。安全は“仕組み”と“人の目”の両立で成り立ちます。


■⑧ 今日できる最小の一歩

エスカレーターや遊具、機械設備を利用するとき、「もし止まらなかったらどうなるか」を一度考えてみてください。
保護者ができる最小の防災は、子どもから目を離さず、危険を察知したらすぐに行動することです。


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