2025年、全国でクマの出没が過去最多ペースで続き、
警察官による駆除、自衛隊の捕獲作業支援まで行われる
“異例の事態” となりました。
しかし、今は冬眠期に入り一時的に事故が減っても、
また数年後に同じ問題が再燃する可能性が極めて高い と専門家は警告します。
本記事では、
● クマが増え続ける背景
● 必要となる中長期的な対策
● 人とクマの生活圏を分ける仕組み
を防災士の視点でわかりやすく解説します。
■① クマは“増え続けている”。捕獲しても減らない理由
専門家によると、
毎年数千頭が捕獲されているにもかかわらず、
クマの出没件数が減っていない=生息数が右肩上がりで増えている可能性が高い
とされています。
背景には次の要因があります。
◎中山間地で人口が減少 → 人がいなくなった土地に野生動物が進出
・クマ
・イノシシ
・シカ
・サル
などが、空いた山林や耕作放棄地に住み着き、
野生動物が人里へ近づきやすくなる構造が加速。
◎どんぐり凶作など、毎年変動する自然条件
・豊作の年に個体数が増える
・不作の年に一斉に人里へ
という周期があるため、
一時的な出没減少に安心してはいけません。
■② 最重要:人とクマの“生活圏を分離”する中長期策
根本的に被害を減らすには、
人が住む場所と、クマが住む場所の境界を明確にすること が不可欠です。
そのための鍵となるのが「バッファー(緩衝地帯)」です。
■③ バッファーゾーンを整備する方法
◎バッファーでクマが住みにくい環境を作る
・ヤブを刈り払い、見通しを良くする
・スギ、ヒノキなど食べ物が無い人工林にする
→ エサが無いエリアにすることで定着を防止
◎クマが入ってきたら“学習させる”
バッファーにクマが入った場合は、
・捕獲
・犬を使った追い立て
などを行い、
「ここは危険で居心地が悪い場所だ」
とクマに学習させることが重要。
特にメスのクマは行動範囲が狭く、
生涯にわたり同じ場所に住むため、
学習した賢い個体を“境界の守り役”のように配置できるという考え方です。
■④ ベアドッグ(クマ探知犬)や狩猟犬の活用
ベアドッグと呼ばれる、
クマの匂いや気配を敏感に察知する訓練犬がいますが、
日本には昔から狩猟犬文化があり、
狩猟犬でも十分にクマの追い立てに活用できる
と専門家は述べています。
犬がクマを追い払うことで、
クマに「ここは危険だ」と学ばせる効果があります。
■⑤ バッファーを維持する専門人材も必要
バッファーを作るだけでは不十分で、
維持し続ける専門人材が不可欠です。
必要な役割
・クマの監視
・捕獲作業の実施
・境界線の整備
・耕作放棄地の管理支援
これらが継続されて初めて、
人とクマの生活圏が安定して分離されます。
■⑥ 集落側の取り組み:境界線をはっきりさせる
人が離れた土地は、野生動物にとって“格好の住処”になります。
そのため住民側にも次のような取り組みが求められます。
◎耕作放棄地を減らす
放置された土地はクマの隠れ場所・移動経路になる。
◎人里の境界を明確にする
草刈り・見通し確保により侵入リスクを下げる。
■まとめ|事故が減ったとしても“終わりではない”
冬にクマが冬眠すると出没件数は一気に減ります。
しかし──
それを「解決した」と考えるのは最も危険です。
・どんぐり凶作は数年周期でまた起きる
・人里への進出は学習により代々受け継がれる
・捕獲数より個体数の増加ペースが上回っている可能性
これらを考えると、
今すぐ中長期対策に取り組まなければ、
数年後に今年以上の出没被害が起きる可能性が高いのです。
人とクマの距離をどう保つか。
その答えは、
「境界線をつくり、維持し、クマに学習させること」
これが被害を根本から減らす唯一の道です。

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