【防災士が解説】トイレタンクの水は飲める?非常時に“使える水源”にする具体的手順

「断水したら、家の中に本当に水はないのか?」

結論から言うと、条件を満たせばトイレタンクの水は生活用水として活用できます。ただし“何も考えずに飲む”のは危険です。正しい知識があるかどうかで、安全性は大きく変わります。


■① なぜトイレタンクが水源になるのか

多くの家庭用トイレは、レバーを引くたびに水道水がタンクに補充される仕組みです。
つまり、断水直前まで使用していた水道水が、タンク内に貯まっています。

一般的なタンク容量は約6〜10リットル。
家族分の“応急用水”としては、決して無視できない量です。


■② そのまま飲んでいい?答えは「条件付き」

基本は生活用水(手洗い・簡易洗浄用)としての活用が前提です。

飲用にする場合は、

・タンク内に洗浄剤(ブルーレット等)を使用していない
・長期間放置水ではない
・煮沸または浄水処理を行う

この条件を満たす必要があります。

洗浄剤が入っている場合は飲用不可です。


■③ 取り出し方|安全な手順

  1. タンク上部のフタを外す
  2. 清潔な容器で直接すくう
  3. 底の沈殿物は触れない
  4. 使用後はタンクを空にしない(再利用不能になる)

タンク底にはサビや不純物が溜まることがあります。
底をかき混ぜないことが重要です。


■④ 被災地で感じた「水の重み」

被災地派遣で断水地域に入った際、最も切実だったのは水でした。

元消防職員として現場支援に入った経験から言えるのは、
「数リットルの水があるだけで精神的余裕が全く違う」ということです。

LOとして自治体調整に入った時も、
給水車が来るまでの“数時間”をどうつなぐかが最大の課題でした。

家の中にある水を知っている人は、落ち着いて行動できます。


■⑤ よくある誤解|タンク水=不衛生?

誤解されがちですが、元は水道水です。
ただし、

・タンク内部の汚れ
・ゴム部品の劣化
・長期停滞水

があるため、飲用には必ず煮沸が必要です。

“元が水道水だから安全”ではありません。


■⑥ 今日できる最小行動

・洗浄剤を使用しているか確認
・家族に「断水時はタンクを流さない」と共有
・小型の浄水器を備える

知っているだけで、水を無駄に流してしまう事故を防げます。


■⑦ 行政側が言いにくい本音

給水車は万能ではありません。
道路状況・人員・天候で遅れることがあります。

だからこそ、家庭内の“自律型水源”が重要になります。

これは“やらなくていい防災”ではなく、“知っておくだけで助かる知識”です。


■⑧ 結論|知識があれば家の中に水はある

断水=即絶望ではありません。

トイレタンクは、正しく扱えば応急水源になります。

知らなければ流して終わり。
知っていれば、数時間をつなげる。

小さな知識が、生活を守ります。


出典:内閣府 防災情報のページ「家庭でできる水の備え」
https://www.bousai.go.jp

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