【防災士が解説】ポータブル冷蔵庫で非常食を守る保存術|夏の食中毒・冬の凍結を防ぐ現実解

車中避難は「食べ物があるのに食べられない」が起きます。原因はシンプルで、温度管理です。
被災地支援で避難所に入ったときも、夏場は“傷むのが早い”食材が一気に問題化し、逆に冬は凍結で食感が落ちたり、解凍できずに食べられない場面がありました。LOとして物資調整に入った現場でも、冷蔵・冷凍の枠が少ないと、せっかく届いた食料の「活かし方」が一気に難しくなります。
キャンピングカー避難でポータブル冷蔵庫を使うなら、ポイントは「何を入れるか」ではなく「温度・電力・優先順位」を固定することです。

目次

  • ■① まず結論:冷蔵庫は“全部入れる箱”ではない
  • ■② 食中毒リスクを潰す温度ルール
  • ■③ 入れて良い物・入れない方が良い物
  • ■④ 電力が切れたときのリカバリー手順
  • ■⑤ 氷・保冷剤・クーラーボックスの併用が最強
  • ■⑥ 家族4人の現実運用(優先順位テンプレ)
  • ■⑦ やらなくていい保存(ムダを削る)
  • ■⑧ 今日の最小行動(10分で完成)
  • ■結語

■① まず結論:冷蔵庫は“全部入れる箱”ではない

ポータブル冷蔵庫を導入すると、つい「非常食も飲料も全部入れたい」になります。ここで失敗します。
車中避難では電力が不安定になりやすく、冷蔵庫は“電気を食う装備”です。よって考え方は逆で、冷蔵庫は「腐ると困る物だけを守る箱」に限定します。


■② 食中毒リスクを潰す温度ルール

避難生活で怖いのは、体調を崩して動けなくなることです。元消防職員の現場感覚でも、胃腸をやられると一気に体力が落ち、判断が鈍って避難行動が遅れます。
温度のルールはシンプルに固定します。

  • 冷蔵:できれば10℃以下をキープする意識
  • 常温:長時間、暑い車内に置きっぱなしにしない
  • 一度開けた食品は「早めに食べ切る」を最優先

※「冷蔵庫があるから安心」ではなく、「温度を守れる運用があるから安心」です。


■③ 入れて良い物・入れない方が良い物

入れて良い物(優先)

  • 服薬が必要な人の薬(温度に弱いものがある)
  • 開封後の飲料(牛乳系・豆乳などは特に注意)
  • カット野菜・サラダチキン等の“傷みやすい系”
  • 子ども・高齢者用の“食べやすい補助食品”で要冷のもの

入れない方が良い物(電力のムダになりやすい)

  • もともと常温保存できる非常食(アルファ米、缶詰、レトルト等)
  • ペットボトル水を大量に(冷やすコストが大きい)
  • 何となくの食材(優先順位が曖昧だと電力が足りなくなる)

避難で大事なのは「冷たい水」より「確実に食べられるカロリー」です。冷蔵庫は“ぜいたく枠”にしないのがコツです。


■④ 電力が切れたときのリカバリー手順

停電・バッテリー不足は普通に起きます。復旧までの動き方を決めておきます。

1) すぐ開け閉めを止める(冷気を逃がさない)
2) 中身を分ける(食べ切る物/捨てる判断が必要な物)
3) 先に「開封済み」を処理する(早く食べる・処分)
4) 保冷剤・氷・クーラーへ移す(冷蔵庫は“保冷箱”として使う)

被災地でも「電源が不安定な時間帯」に食料が一気に傷むことがありました。冷蔵庫が止まった瞬間の行動を、迷わない形にしておくのが強いです。


■⑤ 氷・保冷剤・クーラーボックスの併用が最強

ポータブル冷蔵庫単体より、併用が現実的です。

  • 冷蔵庫:腐りやすい物の“最優先枠”
  • クーラーボックス:飲み物・保冷剤・一時退避枠
  • 保冷剤:夜間や電力不足のつなぎ

「冷蔵庫を止めても数時間持つ状態」を作っておくと、避難生活の自由度が上がります。


■⑥ 家族4人の現実運用(優先順位テンプレ)

家族が増えるほど“ルールがないと冷蔵庫が破綻”します。テンプレを固定します。

  • 最優先:要冷の薬/乳幼児・高齢者の要冷食品
  • 次点:開封後の飲料・傷みやすいタンパク源
  • 余裕枠:冷やしたい飲み物(ただし電力に余裕がある時だけ)

「余裕枠」を最初から作らないのがコツです。余裕は“運用で生まれたら使う”にします。


■⑦ やらなくていい保存(ムダを削る)

  • 常温OKの非常食まで冷やす(電力の無駄)
  • 開け閉めの頻度を増やす(温度が崩れる)
  • 何を入れるか家族で揉める(基準を先に固定で解決)

■⑧ 今日の最小行動(10分で完成)

  • 冷蔵庫の「最優先枠」を紙に1行で決める
    例:薬/開封後/傷みやすい物だけ
  • クーラーボックスを“退避枠”として用意する
  • 開け閉め回数を減らすため、飲み物の置き場所を分ける

■結語

ポータブル冷蔵庫は、非常食を豪華にする道具ではなく「体調を崩さないための温度管理装備」です。腐りやすい物だけを守る、電力が切れたときの手順を固定する、クーラーと併用して逃げ道を作る。これで車中避難の食の失敗は大きく減ります。

出典:厚生労働省「食中毒予防の原則(家庭でできる予防)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000163433.html

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