災害時の停電対策として注目される「ポータブル発電機」ですが、いざ選ぼうとすると「家庭用と業務用、何が違うのか分からない」という声を多く聞きます。
被災地では、発電機の選び方ひとつで“助かるか・苦しむか”が分かれた場面を何度も見てきました。
ここでは、防災の現場経験を踏まえながら、家庭用と業務用ポータブル発電機の違いと、選ぶ際の考え方を整理します。
■① 家庭用ポータブル発電機の特徴
家庭用ポータブル発電機は、「最低限の生活を維持する」ことを目的に作られています。
主な特徴は次のとおりです。
・出力は小〜中容量(数百W〜2,000W前後)
・軽量で持ち運びしやすい
・操作が比較的シンプル
・騒音や排気が抑えられているモデルが多い
被災地では、
「スマホ充電」「照明」「小型暖房」「炊飯器や電気ケトル」
このあたりが使えるだけで、生活の質は大きく変わりました。
実際、能登半島地震の現場でも、家庭用クラスの発電機が1台ある世帯は情報収集と体調管理が圧倒的に安定していました。
■② 業務用ポータブル発電機の特徴
業務用発電機は、作業・復旧・長時間運転を前提に設計されています。
主な特徴は以下です。
・高出力(3,000W以上が多い)
・重量があり可搬性は低め
・燃料消費量が多い
・騒音が大きいモデルが多い
被災地では、
・がれき撤去
・仮設照明の設置
・医療・給水支援
といった場面で業務用が使われていました。
一方で、一般家庭が普段から備えるにはオーバースペックになりやすく、
「重くて使えない」「音が大きくて夜に回せない」
といった声も多く聞かれました。
■③ 災害時に“家庭用で足りたケース”と“足りなかったケース”
現場で感じた重要なポイントは、
「家庭用で十分な家庭」と「そうでない家庭」がはっきり分かれるということです。
家庭用で十分だった例
・家族人数が少ない
・暖房は石油ストーブ等を併用
・電力は情報・照明・調理補助が中心
家庭用では足りなかった例
・医療機器(在宅酸素など)を使用
・大家族で同時使用が多い
・電気暖房に依存している
この差を理解せずに選ぶと、
「買ったけど使えない」「想定外だった」
という失敗につながります。
■④ 防災視点で考える“正しい選び方”
防災で大切なのは、最大性能ではなく「何を守りたいか」です。
まず考えるべきは次の3点です。
・停電時に「絶対に使いたいもの」は何か
・何時間/何日使う想定か
・燃料をどれだけ管理できるか
被災地では、
「高性能だけど燃料切れ」
「重くて外に出せない」
こうした発電機が使われずに眠っている光景もありました。
家庭防災では、
“使い切れる性能”の家庭用発電機を選ぶ方が、結果的に役立つケースが多いと感じています。
■⑤ 家庭用か業務用か迷ったときの判断基準
迷った場合は、次の基準で考えてください。
・家庭防災目的 → 家庭用
・地域支援・作業用途 → 業務用
・普段から扱えるか → 家庭用
・複数世帯や拠点運用 → 業務用
防災は「想定外」が起きるからこそ、
使い慣れた機器を確実に動かせることが最優先です。
■⑥ 被災地から伝えたい一番大事なこと
被災地で何度も感じたのは、
発電機は“買うこと”より“使えること”が重要だという事実です。
・一度も回したことがない
・燃料の扱いが分からない
・設置場所を考えていない
こうした状態では、どんな高性能機でも役に立ちません。
家庭用か業務用かを選ぶ前に、
「自分の家で本当に使いこなせるか」
ここを必ず確認してください。
家庭用と業務用の違いを正しく理解することは、
停電下で家族の安心を守る第一歩です。
次の記事では、
「災害時に使える小型ポータブル発電機のおすすめ機種」
について、現場目線で解説します。

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