【防災士が解説】乳幼児防災は大人と同じ備えだと危険|要配慮者前提が助かる判断基準

赤ちゃんがいる家庭の防災で、最後までズレやすいのが「大人と同じ基準で備えてしまうこと」です。
水や食料を家族全員分で何となく用意していても、乳幼児は必要な物も消費の仕方も違うため、同じ考え方では足りなくなりやすいです。

結論から言うと、乳幼児防災を大人と同じ備えで考えるのは危険です。
赤ちゃんは体温調整、食事、衛生、移動、医療のどれも大人より手がかかり、支援物資でも代用しにくい物が多いからです。
だからこそ、乳幼児は「要配慮者」として別枠で考える方が助かります。

■① 危ないのは「家族分でまとめて考えれば足りる」と思うことです

家庭の備蓄を考える時、つい

  • 水は家族分
  • 食料は人数分
  • 衛生用品は多め

のように、ざっくりまとめて考えがちです。
でも赤ちゃんがいると、

  • 飲める水が限られる
  • 食べられる物が限られる
  • おむつやおしりふきの消費が速い
  • 寝床や防寒が別で必要
  • 親が抱っこしながら動く前提になる

という違いがあります。
つまり、乳幼児の備えは「家族の一部」ではなく、乳幼児として別に考える方が現実的です。

■② 内閣府も乳幼児を「要配慮者」と位置付けています

内閣府の災害時要援護者対策のページでは、高齢者、障害者、乳幼児等は、防災施策において特に配慮を要する方とされています。 (bousai.go.jp)

これはかなり大事な前提です。
赤ちゃんは「小さい家族」ではなく、支援や備えで別の視点が必要な存在として考えられています。
防災で強いのは、この前提を家の中でも持つことです。 (bousai.go.jp)

■③ 判断基準は「赤ちゃんだけ別に数えているか」です

備えが足りているかは、次の問いで分かりやすいです。

おむつ・ミルク・水・衛生用品を、赤ちゃん分だけ別で数えているか。

ここで不安があるなら、まだ弱いです。

  • 大人の備蓄に混ぜている
  • 何日分あるか分からない
  • 今の月齢に合うか見ていない
  • 持ち出し用と在宅用を分けていない
  • 家族で共有していない

赤ちゃん防災では、人数の1人分としてではなく、性質の違う1人分として考える方が助かります。

■④ 東京都も乳幼児家庭は「必要不可欠な物を多めに」と案内しています

東京都の「今やろう防災アクション」では、高齢者や乳幼児がいる家庭では、おむつや常備薬など、生活する上で必要不可欠な物を日頃から多めに備えるよう案内しています。
また、「東京くらし防災」でも、乳幼児等の備えとして、普段使っている物を多めに備える日常備蓄が勧められています。 (bousai.metro.tokyo.lg.jp)

つまり行政も、乳幼児は「普通の家族分」に含めて済ませるのではなく、個別に厚めに考える対象として見ています。 (bousai.metro.tokyo.lg.jp)

■⑤ 被災時は「代わりがききにくい物」ほど困ります

元消防職員としての感覚でも、被災時に本当に困るのは、物が無いこと以上に代わりがきかないことです。

  • ミルクの銘柄が違う
  • おむつサイズが違う
  • 哺乳瓶の飲み口が合わない
  • おしゃぶりを嫌がる
  • 食具やおもちゃがいつもと違う

大人なら多少の我慢で済むことも、赤ちゃんはそうはいきません。
だからこそ、防災では乳幼児の個別性を前提にした方が助かります。

■⑥ 危ないのは「避難所へ行けばそろう」と思うことです

支援物資は来ます。
でも乳幼児用品は、

  • 月齢差
  • 体質差
  • アレルギー
  • 飲み慣れ・食べ慣れ

があり、一般物資より個別性が高いです。
そのため、支援を待つ前提だけでは弱くなりやすいです。
赤ちゃん防災では、最初の数日を自力で回せることがかなり重要です。

■⑦ 助かるのは「赤ちゃん専用ユニット」を作ることです

東京都の「備蓄ユニット」の考え方とも相性が良いのが、赤ちゃん専用ユニットを作ることです。

  • 授乳セット
  • おむつセット
  • 衛生セット
  • 医療・書類セット
  • 安心セット

のように分けておくと、家族全体の備えの中でも埋もれにくくなります。
赤ちゃん用品は「家族共通」ではなく、赤ちゃん専用のまとまりを持たせる方が助かります。

■⑧ 今日やるなら「赤ちゃん分を別紙で書き出す」のが正解です

今日すぐやるなら、ここからで十分です。

  • おむつ
  • ミルク
  • 調乳用の水
  • おしりふき
  • 常備薬
  • 抱っこひも

この6つだけでも、赤ちゃん分として別に書き出してみてください。
それだけで、何が足りて何が足りているかがかなり見えやすくなります。
防災では、分けて考えることがそのまま備えの強さになります。

■まとめ

乳幼児防災は、大人と同じ備えだと危険です。
赤ちゃんは防災施策上も「要配慮者」とされており、必要な物も消費の仕方も大人とは違うため、別枠で考える方が助かります。

被災時に強い備えは、“家族全員分の備え”より“赤ちゃん分を別で見える化した備え”です。
おむつ・ミルク・水・衛生用品だけでも、赤ちゃん専用として数え直しておくと安心です。

内閣府|災害時要援護者対策

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