【防災士が解説】京都で515か所が孤立の可能性|防災×孤立集落対策

阪神・淡路大震災から31年。
この間に起きた数々の大規模災害は、「孤立集落」という課題をはっきりと浮かび上がらせました。

京都府内では、災害時に孤立する可能性がある集落が515か所にのぼることが分かっています。
しかも、その中には飲食料の備蓄や避難計画が整っていない集落も少なくありません。


■① 京都に515か所ある「孤立可能性集落」

京都府の調査によると、孤立の可能性がある集落は515か所(2024年3月末時点)。
特に多いのが府北部です。

・中丹地域(舞鶴・福知山・綾部):211か所
・丹後地域(宮津・京丹後・伊根・与謝野):158か所

この2地域だけで全体の約7割を占めています。
海沿いや山間部など、交通手段が限られている地形が大きな要因です。


■② 能登半島地震が突きつけた現実

2024年1月の能登半島地震では、土砂崩れや道路崩壊により多くの集落が孤立しました。
現在も一般車両が通れず、復旧車両のみが通行できる区間が点在しています。

被災地で活動した経験から感じたのは、
「道路が一本しかない地域は、想像以上に孤立しやすい」
という現実です。


■③ 行政が進める“空からの支援”体制

京都府は、道路復旧に時間がかかることを前提に、空路での支援体制を強化しています。

・京都舞鶴港のヘリポート整備(2026年度完成予定)
・京都ドローン協会との協定(情報収集・物資輸送)

これは、孤立集落対策として非常に現実的な方向性です。
ただし、空路支援にも「天候」「夜間」「人手」の制約があります。


■④ データが示す“備えの差”

孤立可能性集落515か所のうち、

・避難施設がある:418か所(81%)
・通信手段を確保:338か所(66%)

一方で、

・避難計画・マニュアルあり:201か所(39%)
・飲料水の備蓄あり:80か所(16%)
・食料の備蓄あり:83か所(16%)

「建物はあるが、中身が足りない」
これが多くの集落の実情です。


■⑤ 公助はすぐに届かないという前提

府の担当者が語る通り、災害時に行政支援がすぐ届くとは限りません。
被災地で何度も見てきたのは、
「72時間どころか、1週間以上支援が届かない地域」
が現実に存在するという事実です。

だからこそ、
・自助
・共助
が生死を分けます。


■⑥ 住民主導で動き出す地域の例

綾部市西方地区では、警戒レベルに応じた避難行動を定めた「地区タイムライン」を作成。
全戸配布し、訓練にも活用しています。

京丹後市佐野甲地区では、住民主導の救急救助組織を立ち上げ、
・防災計画の整備
・救命講習の実施
・名簿の毎年更新

を継続しています。

現場感覚として、
「計画がある地域は、初動がまったく違う」
と強く感じます。


■⑦ 高齢化と担い手不足という現実

多くの孤立集落では、
・住民の高齢化
・自治会役員のなり手不足
が深刻です。

防災は「やる気」だけでは続きません。
負担を減らし、簡単に続けられる仕組みづくりが欠かせません。


■⑧ 防災としての結論

孤立集落の問題は、特別な地域の話ではありません。
「道路が一本」「山に囲まれている」
それだけで、誰もが当事者になります。

公助が来るまでの時間を、
自助と共助でどう耐えるか。

それを考えることが、
これからの日本の防災の核心です。

まずは、
・水と食料を数日分
・誰が誰を助けるかの確認

ここから見直すことが、命をつなぐ第一歩になります。

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