「保険に入っているから大丈夫」
災害の話になると、よく聞く言葉です。
確かに保険は大切です。
しかし、防災の現場で何度も見てきたのは、
保険があっても“安心できなかった人”の現実でした。
保険=安心。
この考え方には、大きな落とし穴があります。
■① 保険は「被害の後」に効く仕組み
まず理解しておくべき点があります。
保険は、
・被害を防ぐものではない
・命を直接守るものでもない
あくまで、
被害が起きた“後”の経済的補償です。
地震や火災、浸水の瞬間、
保険証券が命を守ってくれることはありません。
■② 「保険がある安心」が行動を遅らせる
現場で実際にあったのは、
・「保険があるから無理しなくていい」
・「家は壊れても何とかなる」
という心理です。
この安心感が、
避難の遅れや初動ミスにつながるケースは少なくありません。
災害時に必要なのは、
安心よりも即断即行動です。
■③ 防災士から見た実際に多かった失敗
多かった失敗のひとつが、
「保険に入っている=万全」という思い込み。
・補償内容を正確に理解していない
・自然災害が対象外だった
・支払いまでに時間がかかった
結果として、
生活再建が想定以上に長引くケースを多く見てきました。
■④ 行政側が言いにくい本音
行政の防災施策は、
「保険に頼らずとも命を守れる行動」を前提にしています。
しかし、
「保険に入っておいてください」とは言っても、
「それで安心です」とは言い切りません。
なぜなら、
災害対応の現実は、
保険だけで完結しないからです。
■⑤ 保険でカバーできない現実
保険では補えないものがあります。
・避難生活のストレス
・寒さや暑さ
・不安や孤独
・生活の質の低下
これらは、
日頃の備えや判断力でしか軽減できません。
■⑥ 防災における「正しい保険の位置づけ」
保険は、
防災の“ゴール”ではありません。
正しい位置づけは、
最後のセーフティネットです。
・命を守るのは行動
・生活を守るのは備え
・再建を助けるのが保険
この役割分担を理解することが重要です。
■⑦ 自律型避難と保険の関係
自律型避難とは、
「誰かが守ってくれる」という発想を捨て、
自分で判断し動くこと。
保険があるから逃げないのではなく、
逃げた上で、保険が支えになる。
この順番が、
防災においては絶対です。
■⑧ 安心を作るのは「準備×理解」
本当の安心は、
・保険に入っている
・内容を理解している
・行動の備えがある
この3つがそろったときに初めて生まれます。
保険だけでは、
安心は完成しません。
■まとめ|保険は「安心の材料」であって「安心そのもの」ではない
保険は大切です。
しかし、それだけでは足りません。
結論:
保険は安心を与えるが、安全は保証しない
防災士として現場を見てきた立場から言えるのは、
助かった人ほど、
保険よりも「行動と備え」を優先していました。
保険は、
備えの“最後の一枚”。
最初の一歩ではないのです。

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