【防災士が解説】備蓄は「3日分」より“回る仕組み”が9割|家族が続くローリングストックの作り方

はじめに

備蓄は、たくさん買うほど安心――ではありません。
実際に大事なのは「切らさない仕組み」です。

元消防職員として現場を見て、被災地派遣(LO)でも生活支援の課題を見てきました。
そこで強く感じたのは、物資の量よりも「家庭内で回せる備え」を作っている人ほど、被災後に落ち着いていたということです。

この記事では、家族で無理なく続く“備蓄の作り方”を、順番で整理します。


■① 結論|備蓄は「量」より「回す」|ローリングストックが最強

備蓄で一番よくある失敗はこれです。

  • まとめ買いして満足
  • 期限切れで捨てる
  • いざという時に食べ慣れてなくて食べられない

続く家庭は、例外なくこうしています。

  • 普段食べる物を少し多めに買う
  • 先に食べて、買い足して、回す
  • 生活の一部として備える

つまり、備蓄は「イベント」ではなく「日常の運用」です。


■② 「3日分」だけで足りる?|答えは家庭条件で変わる

よく「3日分備えましょう」と言われます。
これは最低ラインとして大切です。

ただ現実には、

  • 物流停止
  • 停電・断水
  • 道路寸断
  • 感染症や避難所混雑回避で在宅継続

が重なると、生活は長引きます。

だから結論はこうです。

  • まず3日分を作る
  • 次に1週間分へ伸ばす
  • でも“無理なく回る形”で増やす

無理して買い込むより、回る仕組みが強いです。


■③ 備蓄の優先順位|「水→熱→トイレ→食料→明かり→情報」

備蓄は全部揃えようとすると止まります。
順番を固定すると一気に進みます。

1) 水
2) 熱(温める・沸かす)
3) トイレ
4) 食料
5) 明かり
6) 情報(電源・ラジオ)

この順番は、災害種別が違っても崩れません。
生活が詰む原因の多くは「水」と「トイレ」です。


■④ 水の備え|家族が続ける現実解は「飲み水+生活用水」の二段構え

水は“飲む分だけ”だと足りなくなります。
最低限の考え方はこれです。

  • 飲み水(優先)
  • 生活用水(手洗い・簡易洗浄・トイレ補助)

飲み水は「1人1日3L」が目安としてよく使われます。
ただし体格・季節・発汗・高齢者の脱水リスクで必要量は変わります。

現実に続く方法は、

  • ペットボトル水を「箱で1〜2ケース」常備
  • 使ったら同じ量を買い足す
  • 生活用水はポリタンク・風呂水・給水袋で補強

“飲み水を守る”だけで、家の安心度が跳ね上がります。


■⑤ 熱の備え|カセットコンロは「本体よりボンベ数」で決まる

食料を持っていても、温められないと体力が落ちます。
特に寒い時期は、温かいものが命綱になります。

最低限はこれです。

  • カセットコンロ
  • ガスボンベ(回数分)
  • 小鍋・紙皿・割り箸(洗い物を増やさない)

現場で見たのは「食料はあるのに食べられない」状況です。
水が貴重になると、洗い物が最大の負担になります。


■⑥ トイレの備え|簡易トイレは“数”が足りないと詰む

断水時に最初に破綻するのはトイレです。
トイレが崩れると、生活の全てが崩れます。

最低限の考え方はこれです。

  • 簡易トイレ(便器にかぶせる袋)
  • 凝固剤(回数分)
  • 消臭・衛生(袋、消毒、手洗い)

被災地派遣(LO)の現場では、トイレ環境が悪いだけで体調を崩し、避難生活の継続が難しくなる例を何度も見ました。
「我慢すればいい」の話ではなく、感染症や脱水にも直結します。


■⑦ 食料の備え|非常食より「普段の食材」で回す方が強い

非常食は便利ですが、頼りすぎると続きません。

続く形はこうです。

  • レトルト・缶詰・フリーズドライを“普段用”として常備
  • 米・麺・パックご飯を少し多めに回す
  • 子ども用の食べ慣れた物を優先
  • 甘い物・塩分・スープ系を入れる(メンタルと体温に効く)

災害時は食欲が落ちます。
食べ慣れた物があるだけで、家族の落ち着きが違います。


■⑧ やらなくていい防災|備蓄で失敗しやすい“無駄な頑張り”

備蓄が続かない理由の多くは、最初に頑張りすぎることです。

  • いきなり完璧なリストを作る
  • 高価な装備を揃える
  • 一気に大量購入して管理できない
  • 期限切れで自己嫌悪になる

必要なのは「続く形」です。
完璧より、回る仕組み。


■⑨ 今日の最小行動|“標準セット”を「自分セット」に仕上げる3ステップ

今日やることは3つだけでOKです。

1) 水を「家族人数×3日分」だけ確保する
2) カセットコンロ+ボンベを“回数ベース”で揃える
3) 簡易トイレを「3日分だけ」用意する

この3つが揃うと、備蓄が一気に“現実の安心”になります。
そのあとで、食料をローリングストック化すれば完成です。


まとめ

備蓄は「買うこと」より「回すこと」です。

  • まず3日分、次に1週間へ
  • 優先順位は水→熱→トイレ→食料→明かり→情報
  • 水は飲み水+生活用水の二段構え
  • 熱はボンベ数で決まる
  • トイレは数が足りないと生活が詰む
  • 食料は普段の物を回すのが最強
  • 完璧より、続く仕組み
  • 今日の最小行動で“自分セット”が完成する

備蓄は、不安を増やす作業ではなく、判断を軽くする仕組みです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました