自治体で防災士が増えると、「これで防災力は上がった」と思いがちです。
ただ結論からいうと、全職員が防災士になっても“資格だけで終わる”と危険です。
徳島県美馬市は、2020年度に掲げた全正規職員の防災士資格取得目標を2026年2月に達成し、対象となる全正規職員336人が取得したと報じられています。市は資格取得を「業務」と位置づけ、所属長にも配慮を求め、年1回程度の講習会を市役所で実施してきました。 (yomiuri.co.jp )
■① 最初の結論
全職員が防災士は「資格があるから強い」で考えると危険。 助かるのは、業務化して継続運用することです。
防災で本当に強いのは、
資格保有者の人数より、資格を現場で使える状態にしているかです。
■② なぜこの取組が強いのか
美馬市の取組で大事なのは、
単に「取ってください」と言っただけではないことです。
- 資格取得を業務として扱った
- 所属長に配慮を求めた
- 市役所で講習会を開いた
- 新規採用者にも取得方針を持った
つまり、個人の善意や自己負担に任せず、
組織として回る形にしたことが強いです。 (yomiuri.co.jp )
■③ 何が危ないのか
ここで危ないのは、次の考え方です。
- 防災士が増えれば自動で防災力が上がる
- 資格取得は個人努力で十分
- 危機管理課だけ強ければいい
- 取得したらそこで完了
元消防職員として言うと、現場で本当に差が出るのは、
知識があるかだけでなく、
横断的に動けるかです。
被災地派遣やLOでも、助かる自治体はいつも、
危機管理部門だけでなく、
総務、福祉、教育、土木などが同じ言葉で動ける組織でした。
■④ なぜ“全職員”に意味があるのか
災害対応は、危機管理課だけでは回りません。
- 避難所運営
- 要配慮者支援
- 水や道路の確保
- 学校対応
- 物資調整
- 情報発信
こうした対応は、組織横断で動く必要があります。
防災士として見ると、
全職員が一定の防災知識を持つことは、
災害時の共通言語を作ることに近いです。
■⑤ 現場感覚として一番伝えたいこと
防災士として一番伝えたいのは、
資格は“ゴール”ではなく“組織文化の入口”
ということです。
被災地経験から言っても、
知識がある人が一部にいるだけでは足りません。
本当に強いのは、
- 誰が来ても最低限わかる
- 部署をまたいで話が通じる
- 平時から訓練や改善につながる
こういう状態です。
だから、美馬市のように
業務として取得させ、継続して新規採用者にもつなげる流れはかなり意味があります。
■⑥ まとめ
今回のテーマで大事なのは、
全職員が防災士は“資格だけ増えれば安心”と思うと危険。 業務化と継続運用があると助かる。
この判断です。
防災士の資格は大事です。
でも、本当に強いのは、
その知識が組織の中で横につながり、継続して回ることです。
資格を取らせて終わりではなく、
業務として位置づけ、次の職員にも引き継ぐ。
それが一番現実的で強い自治体防災だと思います。

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