円安が長期化し、「円の海外流出」という言葉もニュースで聞くようになりました。海外投資の利益が国内に戻らず、デジタル赤字も拡大している――こうした構造変化が為替に影響していると指摘されています。一見すると経済の話ですが、実は防災と無関係ではありません。物価、エネルギー、供給力は、災害時の耐久力に直結するからです。防災士として、生活防衛の視点で整理します。
■① なぜ円安が続くのか
近年の日本は、輸出主導型から海外投資の利子・配当で稼ぐ構造へ移行しています。海外投資収益は増えていますが、その利益が国内に還流せず再投資に回るケースも多いとされます。
加えて、クラウドやオンラインサービス利用拡大による「デジタル赤字」も円流出要因と指摘されています。こうした構造的な資金の流れが、為替の基調に影響します。
■② 円安が家計に与える影響
円安は輸入物価の上昇を通じて、エネルギーや食品価格に波及します。家計の可処分所得が圧迫されると、備蓄や防災投資の余裕も減ります。
被災地派遣で感じたのは、平時の生活余力が少ない家庭ほど、災害時の立て直しが難しくなるという現実です。経済と防災は分断できません。
■③ 「強い経済」は防災力でもある
国内投資を促進し、供給力を高める政策は、為替安定だけでなく、災害時の物資確保にもつながります。国内生産拠点が多いほど、国際情勢や為替変動の影響を受けにくくなります。
防災士として現場で実感するのは、供給網が寸断されると復旧が遅れるという事実です。国内投資は長期的な耐災害力の強化とも言えます。
■④ デジタル赤字と災害時リスク
海外ITサービスへの依存が高まる中、クラウドや通信基盤が海外企業主体であることはリスクにもなります。災害時、通信やデータ基盤が止まれば行政も企業も機能が低下します。
自律型避難を考える上でも、情報インフラの強靭化は重要です。デジタル基盤の国内強化は、防災インフラの一部でもあります。
■⑤ 長期政策の継続が鍵
企業の国内回帰や産業再構築は短期で成果が出るものではありません。継続的な政策運営が前提です。
被災地の復旧も同じです。短期の支援だけでなく、継続的な投資が地域を立て直します。経済政策と防災政策は時間軸が似ています。
■⑥ 家庭ができる生活防衛
為替は個人では動かせません。しかし、備えは動かせます。
・生活費の見直し
・電源や食料の多重化
・光熱費削減と断熱改善
・非常時の支出増に備えた緊急資金
「耐災害力(お金)」は、精神的な余裕にも直結します。
■⑦ 行政の役割と本音
行政側としては、国内投資促進や供給力強化は時間がかかるため、即効性を過度に期待されるのは難しいのが現実です。
防災士として感じるのは、制度や政策は土台づくりであり、最終的な安心は地域と家庭の積み重ねで支えられるということです。
■⑧ 今日できる一歩
・家計の固定費を点検する
・エネルギー依存度を見直す
・非常時の支出増を想定した予算を考える
経済ニュースを“他人事”にせず、自分の生活設計に落とし込むことが防災になります。
■まとめ|経済構造の変化は防災環境も変える
円安や円の海外流出問題は、為替や財政の話に見えます。しかし、輸入物価、エネルギー、供給力は生活と直結し、災害時の回復力にも影響します。
結論:
強い経済構造は、そのまま強い防災基盤になる。
被災地で感じたのは、経済的余力がある地域ほど立ち直りが早いという現実でした。経済ニュースは遠い話ではなく、私たちの耐災害力を左右する土台です。
【出典】財務省「国際収支統計」
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/

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