【防災士が解説】冬の被災で「体温を奪われない」ための必須アイテムと代用品(新聞紙・ゴミ袋も使える)

冬の災害は、ケガより先に「冷え」で体力と判断力が削られます。体温が下がると手が動かなくなり、言葉が出にくくなり、判断が遅れます。つまり、防寒は“快適”ではなく“生存”の準備です。

私自身、能登半島地震では役場にLO派遣として入り、暖房が十分に効かない場所や、隙間風が抜ける廊下、床の冷たさで体力が削られる場面を何度も見ました。夜間は特に「じわじわ奪われる冷え」が厄介で、気づいたら震えが止まらない人もいました。だからこそ、冬の被災時は“体温を守る道具”を最優先にしてほしいです。


■① 冬の被災で一番怖いのは「低体温症」:静かに進む

低体温は、本人が「寒い」と言えなくなるほど進行することがあります。震えは初期サインですが、進むと震えが弱くなり、ぼーっとして会話が噛み合わなくなります。夜や雨、停電の状況では特にリスクが上がります。

避難所でも屋外でも共通して大切なのは、「濡れを断つ」「風を止める」「床から離す」「首・手首・足首を守る」の4点です。


■② 必須アイテム①:防風・防水の“外側”を作る(ゴミ袋・雨具)

冬は風があるだけで体温は一気に奪われます。だから外側に“風を止める層”が必要です。

  • 雨具(レインウェア上下)が最強:軽くて防風・防水
  • ゴミ袋(45L以上)が代用品になる:風を遮断し、濡れを防ぐ

使い方の基本は「かぶる・巻く・空気を閉じ込める」こと。
・頭からかぶって首元をゆるく閉じる
・胴体に巻いてテープや紐で留める
・濡れた衣類の上からでも“風よけ層”として機能する

※穴を開けてポンチョ型にする場合は、首回りを広げすぎないのがコツです(隙間風が入ると効果が落ちます)。


■③ 必須アイテム②:空気の層=断熱(アルミシート・毛布・新聞紙)

暖かさの正体は「空気の層」です。冬の被災では、薄くても“空気を含むもの”が命を守ります。

  • アルミブランケット(防寒シート):体熱を反射して逃がしにくい
  • 毛布・フリース:空気を抱えて保温
  • 新聞紙:くしゃくしゃにして空気を含ませると断熱材になる

新聞紙は「丸めて空気を作る」のがポイントです。平らに巻くより、くしゃくしゃの方が温かいです。


■④ 新聞紙の実践:体の“冷えポイント”を狙って守る

新聞紙を使うなら、効果が出やすい場所から。

  • 首の後ろ:マフラーの内側に挟む
  • 手首:袖口の内側に巻く(血管が近く冷えやすい)
  • 腰・腹:腹巻きのように挟む
  • 靴の中:中敷き代わりに入れて床冷えを断つ(湿ったら交換)

冷えは「末端」から来ます。指先が動かなくなる前に、手首・足首を守るだけで作業能力が残ります。


■⑤ ゴミ袋の実践:床冷えと濡れを断って“体温の貯金”を守る

避難所や車中泊で見落とされやすいのが「床冷え」です。冷たい床は体温を容赦なく奪います。

  • ゴミ袋を広げて“敷く”:床からの冷えを切る
  • 服の下に“空気層”を作る:袋を直接肌に密着させず、間に衣類を挟む
  • 足元を包む:袋で足先を覆って風を遮断する

私が現場で見たのは、「上は着込んでいるのに、座っているうちにどんどん冷える」ケースです。原因は床と風です。まず床から離して、風を止める。これだけで体感が変わります。


■⑥ 体温を守る“優先順位”:迷ったらこの順で動く

冬の被災で迷ったら、次の順番で整えてください。

1) 濡れを断つ(濡れたら着替え、無理なら外側を防水)
2) 風を止める(雨具・ゴミ袋・上着で外層)
3) 床から離す(敷く・座布団・段ボール・袋)
4) 首・手首・足首を守る(マフラー、手袋、靴下、新聞紙)
5) 体を小さくまとめる(膝抱え、丸くなる、隙間を減らす)


■⑦ 低体温のサインと“やってはいけない”行動

サイン(早めに気づくための目安)

  • 強い震え、歯のガチガチ
  • ろれつが回らない、返事が遅い
  • 手先が動かない、細かい作業ができない
  • ぼーっとして判断が鈍い

やってはいけない

  • 体を濡れたまま放置する
  • 風に当たり続ける場所で我慢する
  • 「動けば温まる」と無理に動き続けて汗をかく(汗=冷えの原因になる)

■⑧ 今日できる最小行動:家にある物で“冬の防災セット”を作る

買い足しが難しくても、家にあるもので十分に強化できます。

  • 45Lゴミ袋(厚手が理想)を10枚
  • 新聞紙(なければ広告紙でも)をひと束
  • 使い捨てカイロ(首・腰用があると強い)
  • 予備の靴下・手袋・ニット帽
  • アルミブランケット(軽くて1枚で効果が大きい)

これを1つの袋にまとめるだけで、冬の災害への耐性が上がります。


まとめ

冬の被災で命を守る鍵は、「濡れを断つ」「風を止める」「床から離す」「首・手首・足首を守る」の4点です。新聞紙は“空気の層”で断熱になり、ゴミ袋は“風と濡れ”を止める外層になります。
現場では、寒さで動けなくなった瞬間に判断力も落ちます。防寒は贅沢ではなく、生存の準備です。


出典

MBSニュース「冷え込む被災地で『低体温症』に注意(新聞紙活用など)」
https://www.mbs.jp/news/feature/specialist/article/2024/01/098464.shtml

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