冬の避難所で最も負担が大きいのは、赤ちゃんを抱えた家庭です。
私が熊本地震・九州北部豪雨・能登半島地震で避難所支援を担当した際、赤ちゃん連れのご家族から本当に多くの悩みが寄せられました。
この記事では、冬の避難所で赤ちゃんと暮らすうえで “実際に起きていた困りごと” を、防災士としてお伝えします。
■① 暖房が届かず「とにかく寒い」
冬の避難所は意外と暖房が行き届きません。
暖かい空気は上に逃げ、床に近いほど冷え込みます。
赤ちゃんは体温調節が苦手なため、足先が常に冷たく、母親がずっと抱っこして温めていた光景を何度も見ました。
■② 夜泣きが響き、親が精神的に追い込まれる
避難所は音が響きやすく、夜泣きは大きなストレスになります。
お母さんが
「泣いたら迷惑になる」
と気にしすぎて眠れず、疲労が限界に達してしまうケースを何度も見てきました。
泣くのは赤ちゃんの仕事。
本来なら気にしなくていいのに、避難所ではどうしても気を使ってしまいます。
■③ 授乳スペースが寒く、落ち着かない
授乳室が整っていない避難所も多く、
・冷たい床
・隙間風
・薄い毛布のみ
という環境で授乳しなければならない場面がありました。
授乳中に赤ちゃんの体が冷えないか、母親が常に心配していたのが印象的です。
■④ オムツ交換のスペース不足
オムツ交換台がない避難所では、
・床
・段ボール
・簡易マット
の上で交換するしかありません。
冬の冷たい床は赤ちゃんの身体に負担が大きく、親も膝立ちで長時間作業するため疲労がたまりました。
■⑤ ミルク用のお湯がすぐに確保できない
支援物資が来る前や混乱期は、
「お湯がすぐに手に入らない」
ことがあります。
ミルクの温度調整も難しく、
・熱すぎる
・ぬるすぎる
など、苦労している家族をたくさん見ました。
■⑥ 着替えが不足し、衛生管理が難しい
避難生活が長引くと、
・洗濯できない
・乾かない
・物資が届かない
という状況になります。
赤ちゃんは着替えの回数が多いため、冬は特に服不足が問題になります。
寒さと湿気で皮膚トラブルが増えるケースも見てきました。
■⑦ 赤ちゃん自身もストレスを感じている
避難所の赤ちゃんは
・環境音
・光
・寒さ
・人の多さ
といった刺激でいつもより敏感になります。
抱っこから降りられない、授乳ペースが乱れる、寝つきが悪くなるなど、「普段と違う様子」が続くことは珍しくありませんでした。
■⑧ 親が孤立しやすく、相談できない
避難所では赤ちゃん連れの家庭が少数になることも多く、
「迷惑をかけたくない」
という気持ちから、困っていても言い出せない親がたくさんいました。
支援員が声をかけると、涙を流しながら悩みを話してくれた母親もいます。
赤ちゃんのケアは、親だけで抱えるには過酷すぎる重さです。
■まとめ|冬の避難所で赤ちゃんを守るには「周囲の理解」が欠かせない
冬の避難所で赤ちゃんを育てることは、想像以上に負担が大きく、環境が整っていないと親も子どもも心身が追い込まれます。
必要なのは、
・暖かさの確保
・授乳・おむつ環境の改善
・周囲の気遣いと理解
・親が相談しやすい空気づくり
この4つです。
結論:
赤ちゃん連れの避難所生活を支えるのは、物資だけでなく「周囲の理解と声かけ」です。
現場で見てきた数々の家庭の姿から、これは災害時の大きな課題だと強く感じています。

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