冬の避難所では、大人よりも子どもが強い不安を抱えることがあります。
私自身、熊本地震・九州北部豪雨・能登半島地震の避難所で多くの子どもたちと接してきましたが、冬は特に環境的ストレスが強く、不安が表面化しやすいと感じています。
この記事では、子どもが冬の避難所で不安を感じる理由と、親ができるサポートを防災士として解説します。
■① 暗さ・寒さが恐怖心を強める
冬の避難所は、夜になると特に冷え込み、照明も落とされて薄暗い環境になります。
子どもにとって「暗い+寒い」は不安を増幅させる大きな要因です。
実際の避難所でも、夜になると泣き出したり、親から離れられなくなる子が多くいました。
■② 生活リズムが崩れ、情緒が不安定になる
避難所では
・就寝時間が遅くなる
・周りの物音で眠れない
・照明が明るい
など、普段の生活リズムが崩れます。
子どもは睡眠不足になると情緒が不安定になりやすく、
「普段しないような泣き方」
「突然怒り出す」
といった行動が見られることもありました。
■③ 周囲の大人の不安を敏感に感じ取る
子どもは大人の表情・声・行動をよく観察しています。
被災直後は親も余裕がなく、不安が顔や態度に出やすくなります。
避難所で私が接した子どもたちも、
「お母さんが心配してるから怖い」
「お父さんが怒ってるみたいで不安」
といった言葉をよく口にしていました。
■④ 見知らぬ人が多く、安心できる空間が少ない
避難所はプライバシーがない空間です。
子どもにとっては
・人が多い
・知らない声が聞こえる
・自分の場所がない
という状況が大きなストレスになります。
特に冬は屋外で気分転換する時間が減るため、ストレスがたまりやすい傾向があります。
■⑤ 音に敏感になり、怖さが増す
冬の避難所は静かな時間が少なく、
・咳
・足音
・ざわつき
が響きやすい環境です。
子どもは普段より音に敏感になっているため、
「突然泣き出す」
「耳をふさぐ」
といった行動も多く見られました。
■⑥ 災害の体験が頭から離れない
揺れ、崩壊音、避難の混乱など、子どもは強い衝撃を受けています。
冬は暗さがその記憶を思い出させ、不安が再燃しやすい時期です。
避難所で「地震がまた来る?」と何度も聞いてきた子どもたちの不安は、本当に深刻でした。
■⑦ 親がつい叱ってしまい、さらに不安が大きくなる
避難所は疲労・寒さ・睡眠不足で、親側も余裕がなくなります。
そのため
・騒いだ
・泣いた
・言うことを聞かない
といった場面で、つい強く叱ってしまうこともあります。
しかし子どもはそれを「自分が悪いから怒られた」と受け止め、さらに不安を抱えてしまうことがあります。
■⑧ 親子だけで抱え込むと、子どもの不安は長期化する
避難所では、親子だけで問題を抱え込んでしまうケースが多いですが、
・スタッフ
・他の保護者
・支援者
が柔らかく関わることで、子どもは安心しやすくなります。
支援で現地に入った際も、声かけ一つで子どもの表情が変わり、親の緊張もほぐれることが多くありました。
■まとめ|子どもの不安は「環境+心のケア」の両方が必要
冬の避難所は、
寒さ・暗さ・生活リズムの乱れ・環境の変化
が重なり、子どもは大人以上に不安を抱えます。
親ができることは、
・子どもの不安を否定せず受け止める
・温かさと安心できる空間をつくる
・“いつも通り”の行動を少しでも取り入れる
この3つが重要です。
結論:
冬の避難所では、大人の声かけと小さな安心づくりが、子どもの心を守る最大の防災になります。
被災地で多くの子どもたちと接してきた経験から、心のケアは物資と同じくらい重要だと強く感じています。

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