【防災士が解説】初の「後発地震注意情報」と厳冬期避難の現実|防災×後発地震

2025年12月、青森県東方沖で発生したマグニチュード7.5の地震を受け、日本で初めて「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表されました。この出来事は、新たな防災情報の運用開始という意味だけでなく、厳冬期における避難の厳しさを社会全体に突きつける出来事でもありました。


■① 初めて発表された「後発地震注意情報」とは何か

後発地震注意情報は、強い地震の発生後、相対的に巨大地震の発生確率が高まったと評価された場合に、一定期間(今回は7日間)注意を呼びかける情報です。

ただし重要なのは、
巨大地震は「注意情報が出た時」に起きるとは限らず、出ないまま突然発生する可能性の方が高いという点です。
この情報は「予知」ではなく、「備えを再確認するためのきっかけ」として位置づける必要があります。


■② 深夜・厳冬期の避難が突きつけた現実

今回の津波避難は、
・深夜
・真冬
・積雪・低温
という、最悪に近い条件が重なりました。

徒歩避難では低体温症のリスクが高く、実際には自動車で避難する人が多かったとみられ、各地で渋滞が発生しました。これは「ルール違反」というより、寒冷地に住む人々が、現実的なリスクを織り込んで判断した結果とも言えます。


■③ 厳冬期避難で最大の敵は「低体温症」

日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震・津波の被害想定では、
津波から逃れた後に低体温症への対応が必要となる人が最大約6万6千人に上ると試算されています。

低体温症による災害関連死は、主に次の3つに整理されています。

・津波で水に濡れたまま寒冷環境にさらされる
・津波避難後、屋外で長時間待機せざるを得ない
・停電により暖房を失う

これは、命を守った「その後」に起きるリスクです。


■④ 能登半島地震が示した「現実の被害」

令和6年能登半島地震では、避難生活の中で低体温症が関係した災害関連死が実際に確認されています。
これは北海道や東北だけの問題ではなく、冬に災害が起きる可能性のある地域すべてに共通する課題です。


■⑤ 後発地震注意情報から考えるべき防災

注意情報の期間が終了したからといって、危険が消えたわけではありません。
本当に重要なのは、

「もし近日中に巨大地震が起きるとしたら、自分はどう行動するか」

を一度真剣に考い、その答えを日常の備えに組み込むことです。


■⑥ 今日からできる厳冬期避難の備え

厳冬期の避難を想定した備えとして、次の視点が欠かせません。

・防寒具、手袋、帽子を「避難用」として準備しているか
・濡れた後でも体温を保てる装備があるか
・避難後に屋内へ移動できない可能性を想定しているか
・停電時に暖を取る手段を考えているか

これは特別な装備ではなく、日常生活の延長線で整えられる備えです。


■⑦ 防災は「情報」より「行動」に落とすこと

後発地震注意情報は、恐怖をあおるためのものではありません。
「今の備えで本当に大丈夫か?」と、私たちに問いかけるための情報です。

災害は、最も厳しい条件のときに起こります。
その現実を直視し、寒さ・暗さ・孤立まで含めて想定することが、これからの防災には欠かせません。


厳冬期の避難は、想像以上に過酷です。
命を守ったあと、命を落とさないための備え。
この視点を、今こそ日常に取り入れておく必要があります。

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