はじめに
台風が近づくと、「避難所へ行くべき?」「念のため外へ?」と不安が強くなります。
でも現場では、台風接近中に無理に移動して危険に巻き込まれるケースが少なくありません。
一方で、「自宅待機」を選んだ判断が命を守った――と確信できる人もいます。
その差は“根性”ではなく、条件の整理です。
この記事では、台風接近中に自宅待機が正解になる条件と、待機中に命を落とさないための行動を、迷わない形でまとめます。
■① 結論|自宅待機が正解になるのは「家の安全」と「危険の種類」が一致したとき
台風接近中のリスクは、主にこの4つです。
- 強風(飛来物・転倒・倒木)
- 豪雨(浸水・土砂)
- 停電(情報断・暑さ寒さ・医療)
- 交通遮断(移動の危険化)
自宅待機が正解になるのは、
「移動する方が危険で、家の方が相対的に安全」
この条件が揃ったときです。
■② 自宅待機が命を守った“確信”が生まれる瞬間|外に出ない判断が効く場面
台風で自宅待機の判断が強く効くのは、次の場面です。
- すでに風が強く、屋外の移動が危険になっている
- 暗くなってきて視界が悪い(夜間・停電)
- 冠水が始まっている(車が動けない)
- 倒木や飛来物が出始めている
この段階での外出は、「避難」ではなく「危険へ突っ込む」になりやすいです。
自宅待機で命を守った人は、ここを見極めています。
■③ 自宅待機が“危険になる条件”|この条件なら迷わず避難を検討する
逆に、自宅待機が危険になる条件は明確です。
次のどれかに当てはまるなら、台風が来る前に動くべきです。
- 洪水・高潮・内水氾濫の浸水想定区域に住んでいる
- 土砂災害警戒区域(崖・斜面の近く)に住んでいる
- 低地で、過去に水が溜まりやすい
- 木造で老朽化が進み、窓・屋根・雨漏りが不安
- 独居高齢者、乳幼児、持病があり停電に弱い
大事なのは「台風が来てから動く」ではなく「来る前に動く」です。
台風は“接近後”に状況が急変します。
■④ 自宅待機を選ぶための判断手順|迷いが消える3ステップ
台風接近中の判断は、次の順番で整理すると迷いが減ります。
ステップ1:家の場所が“水・土砂”の危険域か確認
- ハザードマップで浸水・高潮・土砂の想定を確認
危険域なら、基本は“前倒し避難”。
ステップ2:移動が危険化していないか確認
- 風が強くなってきた
- 冠水し始めた
- 夜になった
この時点での移動はリスクが跳ね上がる。
ステップ3:自宅で耐えられる条件が揃っているか確認
- 食料・水・ライト・モバイル電源
- 情報(ラジオ・スマホ)
- 窓対策(飛来物・雨)
- トイレ対策(断水・停電)
この3ステップで「行く/行かない」が条件で決まります。
■⑤ 自宅待機中に“命を落とす行動”|外に出ないだけでは足りない
自宅待機を選んでも、やってはいけない行動があります。
- 様子見で川・用水路・海を見に行く
- 風が強いのに外の片付けを始める
- ベランダや屋根の作業をする
- 冠水している道路に車で入る
- 停電中にロウソクを使い続ける(転倒・火災)
現場でも「自宅待機中の油断」で事故は起きます。
自宅待機は“安全な屋内に留まり続ける”までがセットです。
■⑥ 被災地派遣で感じたこと|台風は「逃げる判断」より「逃げない判断」の精度が問われる
被災地派遣(LO)で住民対応に入ると、台風は特に“判断の分岐”が多いと感じます。
避難所に行くことが正解の人もいれば、移動そのものが危険で、自宅待機が最適解の人もいる。
元消防職員として強く思うのは、
「避難所に行くかどうか」より
「水と土砂の危険域にいるかどうか」
ここが最優先の判断軸になるということです。
水と土砂の危険域で待機するのは、勇気ではなくリスクです。
逆に、危険域ではないのに強風下で移動するのは、備えではなく事故です。
■⑦ やらなくていい防災|“全員避難”という思考を捨てる
台風でよくある誤解はこれです。
- 避難=避難所に行くこと
- みんな同じ行動が正解
実際は、避難の形は複数あります。
- 早めに安全な場所へ移動(前倒し避難)
- 同じ建物内で上階へ移動(垂直避難)
- 安全な自宅での待機(在宅避難)
自宅待機が正解になる日も、確かにあります。
大事なのは「条件で選ぶ」ことです。
■⑧ 今日の最小行動|台風接近中に迷わないための3つ
1) ハザードマップで「水・土砂」の危険域か確認する
2) 台風前にやる屋内対策を固定する
(窓の飛散防止/充電/水の確保)
3) 自宅待機の“中止条件”を決める
例:「浸水が始まったら上階」「土砂の恐れがあれば前倒し避難」
まとめ
台風接近中、自宅待機が命を守る日があります。
ただしそれは「家が安全」「移動が危険」「備えがある」条件が揃ったときです。
- 判断は感情ではなく条件で決める
- 水と土砂の危険域なら“前倒し避難”が基本
- 強風下の移動は事故になりやすい
- 自宅待機は“屋内に留まり続ける”までがセット
出典
気象庁「台風に関する知識・防災情報」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/

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