大雨や台風が近づく時、
「自宅にいた方が安全なのか」
「避難所へ行くべきなのか」
「高層階マンションなら残っていいのか」
と迷う人は少なくありません。
結論から言えば、在宅避難と立ち退き避難の判断で最も大切なのは、“家にいたいかどうか”ではなく、“その家で命を守れて、生活を維持できるかどうか”です。
内閣府の避難情報に関するガイドラインは、「避難」とは「難」を避けることであり、安全な場所にいる人は避難場所へ行く必要はなく、屋内安全確保も選択肢になりうると示しています。一方で、屋内安全確保を選ぶには、ハザードマップで家屋倒壊等氾濫想定区域、浸水深、浸水継続時間などを確認し、自宅で安全を確保できるかを見極める必要があるとしています。東京都の在宅避難者支援ガイドラインも、在宅避難は自宅等が安全であることが前提だと明記しています。
元消防職員として率直に言えば、水害時に一番危ないのは、
「家だから安心」と思い込むこと
です。
東日本大震災当時に東京で被災し、その後の被災地派遣やLO対応でも強く感じたのは、避難判断は「家か避難所か」の二択ではなく、その家で本当に持ちこたえられるかの見極めだということです。特に水害では、室内に水が入らなくても、停電・断水・孤立で一気に厳しくなることがあります。
■① まず押さえたいのは「避難=避難所へ行くこと」ではない
内閣府の周知資料では、「避難」とは「難」を避けることであり、安全な場所にいる人は避難所へ行く必要はないとされています。
つまり、避難行動には
・立ち退き避難
・親戚や知人宅への避難
・ホテルや旅館への避難
・屋内安全確保
などが含まれます。
防災士として言えば、ここを最初に押さえるだけで判断がかなり整理しやすくなります。
大切なのは、どこへ行くかではなく、どこなら安全かです。
■② 在宅避難を選んでよいのは「自宅が安全な時」だけ
東京都の在宅避難者支援ガイドラインは、在宅避難を行うに当たっては、自宅等が安全であることが前提だとしています。
内閣府の避難情報ガイドラインでも、屋内安全確保を選ぶなら、
・家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていないか
・浸水深はどの程度か
・浸水継続時間は長くないか
・上階へ移動して安全確保できるか
を確認する必要があるとしています。
防災士として率直に言えば、在宅避難は
「避難しなくていい方法」
ではありません。
「条件を満たした時だけ選べる方法」です。
■③ 持ち家でも「残る方が危険」な家はある
持ち家だと、
「家を守りたい」
「離れたくない」
と感じやすいです。
でも、水害時は持ち家かどうかより、立地と構造の方が大切です。
たとえば、
・川の近く
・低地
・家屋倒壊等氾濫想定区域
・深い浸水想定区域
なら、持ち家でも立ち退き避難を優先した方が安全です。
内閣府のガイドラインも、屋内安全確保の可否はハザードマップ等で確認すべきだとしています。
元消防職員として率直に言えば、
持ち家だから残る
ではなく、
残っても命を守れる家か
で考える方が現実的です。
■④ 高層階マンションは在宅避難に向くこともあるが、条件付き
高層階マンションは、水害時に室内浸水を避けやすいことがあります。
東京都のマンション防災リーフレットでも、耐震基準を満たしたマンション等は、被害が軽微であれば在宅避難が可能となるとしています。内閣府の避難情報資料でも、安全な上階への移動や安全な上層階に留まることが屋内安全確保の選択肢として示されています。
ただし、高層階でも
・停電
・断水
・エレベーター停止
・トイレ使用困難
・周辺道路の冠水による孤立
が起きると、一気に厳しくなります。
防災士として言えば、マンション高層階で大切なのは、
浸水しないこと
だけでなく、
数日間その場で暮らせるか
です。
■⑤ 立ち退き避難を選ぶべき典型パターン
次の条件が重なるなら、立ち退き避難をかなり前向きに考えた方が安全です。
・深い浸水想定がある
・家屋倒壊等氾濫想定区域に入る
・平屋、または上階で安全確保しにくい
・高齢者、障害のある方、乳幼児、妊産婦がいる
・夜間に悪化する予報
・停電や断水に弱い住環境
内閣府の事例集でも、立ち退き避難の時間的余裕がない場合に、堅牢な建物の高層階や自宅内の2階以上へ移動した事例はある一方、これは時間的余裕がない場合の有効な手段として示されており、早めの避難の重要性も繰り返し示されています。
元消防職員として率直に言えば、
迷う条件が多い家ほど、早めに外へ出る方が安全
です。
■⑥ 在宅避難を選ぶなら「生活維持」ができるかを必ず確認する
在宅避難は、室内が浸からないだけでは不十分です。
東京都の在宅避難者支援ガイドラインは、在宅避難の前提として建物の安全性確認に加え、在宅生活を続けるうえでの支援や備えの重要性を示しています。
具体的には、
・水
・食料
・簡易トイレ
・モバイルバッテリー
・常備薬
・照明
・情報収集手段
が必要です。
防災士として言えば、在宅避難は
家に残ること
ではなく、
家で生活を続けること
です。
そこまで考えていない在宅避難は、かなり不安定です。
■⑦ 被災地経験から見ても「避難所が嫌だから在宅」は危ない
被災地対応でよく感じたのは、
「避難所が苦手だから家にいる」
という判断が、結果的に孤立や体調悪化につながることがあるということです。
もちろん、避難所には負担もあります。
でも、水害後は
・断水
・トイレ問題
・暑さ寒さ
・情報不足
・片付け負担
が重なります。
元消防職員として率直に言えば、在宅避難は
避難所回避のための選択
ではなく、
安全と生活維持が両立できる時だけの選択
です。
感情より条件で決める方が現実的です。
■⑧ まとめ
在宅避難と立ち退き避難の判断で最も大切なのは、“家にいたいかどうか”ではなく、“その家で命を守れて、生活を維持できるかどうか”です。
内閣府の避難情報に関するガイドラインは、「避難」とは「難」を避けることであり、安全な場所にいる人は避難場所へ行く必要はなく、屋内安全確保も選択肢になりうると示しています。一方で、屋内安全確保を選ぶには、家屋倒壊等氾濫想定区域、浸水深、浸水継続時間などを確認し、自宅で安全を確保できるかを見極める必要があるとしています。東京都の在宅避難者支援ガイドラインも、在宅避難は自宅等が安全であることが前提だと明記しています。
元消防職員として強く言えるのは、在宅避難か立ち退き避難かで一番大切なのは
家を離れたくない気持ち
ではなく、
その家で本当に持ちこたえられるか
だということです。
迷ったら、
・自宅の安全性
・上階避難の可否
・生活維持の可否
この3つで判断するのが一番現実的です。

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