【防災士が解説】地震で停電した時まず何をする?最初の10分で危ない判断基準

地震で停電すると、多くの人は「明かりがない」「スマホが使えない」「ブレーカーはどうする」と一気に不安になります。
ですが、最初の10分で本当に大事なのは、電気を戻すことでも、情報を集めることでもありません。
まず自分と家族が、次の揺れや火災で傷まない状態を作ることです。

停電直後は、暗さそのものより、慌てて動くことの方が危険です。
割れたガラス、倒れた家具、通電火災、余震、出口のふさがり。
この初動を間違えると、助かるはずの場面でけがや二次災害につながります。

この記事では、地震で停電した時に「最初の10分で何を優先するべきか」を、現場感覚で判断型に整理します。

■① 最初にやるべきことは「電気の確認」ではなく「身の安全の確保」

停電すると、つい照明やブレーカーが気になります。
でも、最初の判断基準はそこではありません。

まず見るべきなのは、次の3つです。

・自分は安全か
・家族は安全か
・今いる場所は安全か

地震直後は、余震でものがさらに落ちたり、家具が倒れたりします。
暗い中で急いで歩くと、ガラス片や散乱物でけがをしやすいです。
だから最初は、無理に移動せず、頭を守り、周囲の落下物や転倒物を確認することが先です。

■② 一番危ないのは「停電したからすぐ動く」こと

地震の停電直後に危ないのは、暗いからといってすぐ歩き回ることです。
特に夜間は、床に何が落ちているか分からず、割れた食器や窓ガラスで足を傷めやすくなります。

元消防職員としての感覚でも、発災直後は「何をするか」より「何を急いでしないか」の方が大事なことがあります。
停電直後の一発アウトは、慌てて移動してけがをすることです。

だから判断基準は、
暗い時ほど、まず止まって周囲を見る
です。

■③ 次にやるべきは「火の元」と「通電火災」の危険確認

身の安全を確認したら、次は火の元です。
特に確認したいのは、次のような場面です。

・調理中だった
・暖房器具を使っていた
・電熱機器の近くに燃えやすい物がある
・倒れた家電がある
・コードがつぶれている、傷んでいる

停電時に怖いのは、その場の火だけではありません。
電気が戻った時に火災になる通電火災です。
そのため、家の中が危ない状態なら、電気製品のスイッチを切る、必要に応じてブレーカーを落とす判断が重要になります。

■④ ブレーカーは「とりあえず触る」ではなく「危険がある時に落とす」

ここは誤解しやすいところです。
ブレーカーは、停電したから機械的にすぐ触ればよいわけではありません。

私がすすめる判断基準はこうです。

・電気機器が倒れている
・配線が傷んでいる
・ストーブ、アイロン、ヒーターなどが不安
・家を離れて避難する
このどれかに当てはまるなら、ブレーカーを落とす判断は強いです。

逆に、暗い中で無理に分電盤まで行くことで危険が増えるなら、そこは慎重でいいです。
防災では、正しい行動でも順番を間違えると危なくなります。

■⑤ 停電直後の情報収集は「スマホを使う」より「電池を守る」から

停電すると、すぐに情報を見たくなります。
もちろん大事です。
ただし、最初の10分はスマホを長く触るより、バッテリーを守る方が先です。

・画面の明るさを下げる
・不要なアプリを閉じる
・家族への連絡は短くする
・モバイルバッテリーの場所を確認する
・停電情報は必要な時に絞って見る

被災地派遣でも、情報がない不安は強いですが、バッテリーが切れると後でさらに苦しくなります。
だから停電直後は、情報を集めるより、情報を受け続けられる状態を残すことが大切です。

■⑥ 最初の10分でやると強いのは「出口」と「靴」の確保

停電時の地震で、地味ですがかなり大事なのがこの2つです。

・出口がふさがっていないか
・靴や履物を確保できるか

余震が来た時、避難しようとしても出口が家具で塞がれていたら動けません。
また、裸足では家の中でも危険です。
寝室や玄関近くに履物を置いておく備えは、こういう時に効きます。

私なら、最初の10分で「逃げられる出口」と「足を守る物」を優先して確認します。
現場でも、次に動ける状態を作ることが初動の強さになります。

■⑦ 避難するかどうかは「停電したか」ではなく「この家に留まって安全か」で決める

停電すると不安で外に出たくなることがあります。
でも、判断基準は停電そのものではありません。

見るべきは、
この建物に留まって安全か
です。

・建物が大きく傾いていないか
・火災の危険はないか
・津波、土砂、水害など別の危険が迫っていないか
・余震に耐えられそうか
・家族と動ける状態か

つまり、停電だけで即避難ではなく、停電+建物や周囲の危険で判断する方が現実的です。

■⑧ 結論|最初の10分は「安全確保→火災予防→動ける準備」の順で見る

地震で停電した時、最初の10分で見る順番を一つに絞るなら、私はこう考えます。

①身の安全 ②火の元と通電火災の危険 ③出口と靴の確保 ④必要ならブレーカー ⑤スマホ電池を守りながら情報確認

この順番なら、大きく外しにくいです。
逆に、最初から電気を戻すことや、長時間の情報収集を優先すると、危険の見落としが起きやすくなります。

■まとめ

地震で停電した時、最初の10分で一番大事なのは、電気をどうするかより、まず安全な状態を作ることです。
慌てて歩き回らず、身の安全を確認し、火の元と通電火災の危険を見て、出口と履物を確保する。
そのうえで、必要に応じてブレーカーを落とし、スマホの電池を守りながら情報を取る。
この順番が、停電直後の二次災害を減らしやすいです。

私なら、停電直後の最初の10分は「暗い中で急がない」を最優先にします。現場でも、助かった人ほど最初に大きく動かず、危険を一つずつ潰していました。地震の停電は“何を急ぐか”より“何を急がないか”で生死が分かれる場面があります。

出典:資源エネルギー庁「あらためて学ぶ、『停電』の時にすべきこと・すべきでないこと」

参考:内閣府「特集 家族で防災」

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