夏に地震が起きて避難所生活になると、コミュニケーションは「仲よくすること」以上の意味を持ちます。暑さ、睡眠不足、疲労、情報不足が重なると、普段なら流せる一言でも強く受け取られやすくなり、ちょっとした行き違いが大きなストレスにつながるからです。内閣府の避難生活支援リーダー/サポーター向け資料でも、避難所では日々のコミュニケーションを重ねて信頼関係をつくること、相手の困りごとを丁寧に聴き取り支援につなげることが重要だと示されています。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/pdf/231005_kenshu04.pdf
だからこそ大切なのは、「我慢して黙ること」でも「正論で押し切ること」でもありません。必要なことを、短く、具体的に、相手が受け取りやすい形で伝えることです。この記事では、夏の地震で避難所にいる時のコミュニケーションを、家庭で判断しやすい形で整理して解説します。
■① 最初に考えるべきことは「何を言うか」より「相手が受け取りやすい状態か」
結論から言うと、最初に考えるべきことは、こちらが正しいことを言うかどうかより、相手が今それを受け取れる状態かです。
夏の避難所では、暑さ、空腹、眠気、焦りで、判断力も気持ちの余裕も落ちやすくなります。厚生労働省の避難所健康管理ガイドラインでも、避難所では休息や睡眠が重要で、不眠や食欲低下が続く場合は配慮が必要だと示されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000805637.pdf
元消防職員として感じるのは、被災地で伝わりにくくなるのは内容そのものより、「相手がもう疲れ切っている時」に話しかけることです。だから、コミュニケーションでは“正しいことを長く話す”より、“今なら届くか”を見る方が現実的です。
■② 避難所でまず優先したいコミュニケーションは何か
まず優先したいのは、安心につながる短い声かけです。
たとえば、「ここで休めます」「トイレはあちらです」「給水はこの時間です」「困っていることありますか」といった、今すぐ役立つ一言です。内閣府の資料でも、避難所では相手の想いや困りごとを丁寧に聴き取り、その人らしさを大切にした支援につなげることが大事だとされています。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/pdf/231005_kenshu04.pdf
私なら、夏の避難所では「励ます」より先に「今すぐ困っていることを減らす」会話を優先します。被災地でも、長い説明より、短く役立つ言葉の方が安心につながりやすかったです。
■③ 避難所でのコミュニケーションの基本チェックリスト
避難所では、次の順番で考えると整理しやすいです。
・短く話す
・具体的に話す
・相手の反応を見る
・一度に多くを伝えすぎない
・困りごとを先に聴く
・否定から入らない
・暑さや疲れで余裕がない前提で話す
・必要なら掲示や文字でも補う
・高齢者、子ども、障害のある方には伝え方を変える
・言ったつもりで終わらず、伝わったか確認する
厚生労働省のガイドラインでは、避難所ではポスター掲示など視覚的な方法と、音声など聴覚的な方法の両方で健康情報を伝えることが勧められています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001enhj-att/2r9852000001enj7.pdf
■④ 伝わりにくい時はどうすべきか
伝わりにくい時は、言い方を変える方が先です。
たとえば、「気をつけてください」ではなく「足元に段差があります」、「ちゃんと水分を取って」ではなく「今ここで一口飲みましょう」といった形です。内閣府の要配慮者支援に関する資料でも、避難所内の案内は、指示語ではなく、できるだけわかりやすく具体性のある表現にすることが重要だと示されています。
https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/youengosya/h25/pdf/sankou.pdf
元消防職員としては、避難所では「聞いていない」のではなく「疲れていて入りにくい」ことが多いと感じます。だから、繰り返すより、短く具体的に言い換える方が現実的です。
■⑤ 情報共有は口頭だけで十分か
十分とは言えません。口頭と掲示を組み合わせる方が安全です。
厚生労働省は、避難所での健康情報は、掲示と音声の両方で提供することが望ましいとしています。暑さで集中力が落ちている時は、一度聞いただけでは入りにくいからです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001enhj-att/2r9852000001enj7.pdf
私なら、避難所のコミュニケーションは「その場で伝える」だけでなく、「後から見返せる」ことも意識します。被災地でも、口頭説明だけでは抜けや誤解が出やすかったです。
■⑥ 子どもとのコミュニケーションで意識したいことは何か
子どもには、長い説明より、安心できる短い言葉の方が届きやすいです。
こども家庭庁の「災害時のこどもの居場所づくり」手引きでも、子どもとのコミュニケーションを図る工夫や、子どもが安心して過ごせる関わりの重要性が示されています。
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/ebca80df-3a49-439a-bc5c-deeef835d008/5cef26a0/20250530_councils_shingikai_kodomo_ibasho_ebca80df_05.pdf
つまり、「今はここにいて大丈夫」「一緒に行こう」「あとで水を飲もう」といった、短くて見通しのある言葉の方が現実的です。私なら、子どもには説明の正確さより「安心の順番」を優先します。
■⑦ 高齢者や要配慮者への伝え方はどう変えるべきか
高齢者や要配慮者には、具体的に、ゆっくり、確認しながらが基本です。
内閣府の資料では、視覚障害者等への情報提供では、人的支援を伴う案内や、具体的な表現での説明が必要だとされています。また、避難所の現状資料でも、視覚・聴覚障害者への情報保障や、発達障害者等へのコミュニケーション支援の重要性が示されています。
https://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/r6_setsumeikai/pdf/sanko_shiryo1.pdf
つまり、避難所のコミュニケーションは「全員に同じ言い方」ではなく、相手に合わせて形を変える方が安全です。
■⑧ 迷った時の判断基準
迷ったら、次の順番で考えてください。
「今、この人は受け取れる状態か」
「短く、具体的に言えているか」
「口頭だけでなく、見てわかる形にもできているか」
「伝えたあと、理解できたか確認しているか」
この4つがそろっていれば、夏の避難所のコミュニケーションとしてはかなり現実的です。防災では、うまく話すことより「伝わって、落ち着いて動けること」の方が大切です。
■まとめ
夏の地震で避難所にいる時のコミュニケーションで大切なのは、「正しいことをたくさん言うこと」ではなく、「相手が受け取りやすい形で必要なことを伝えること」です。内閣府の資料では、避難所では日々のコミュニケーションを重ねて信頼関係をつくり、困りごとを丁寧に聴き出すことが大切だとされています。厚生労働省も、避難所では情報提供を視覚と聴覚の両方で行うことを勧めています。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/pdf/231005_kenshu04.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001enhj-att/2r9852000001enj7.pdf
私なら、夏の避難所のコミュニケーションで一番大事なのは「上手に話すこと」ではなく「短く、具体的に、届く形で伝えること」だと伝えます。被災地でも、暑さと疲れの中では長い説明ほど入りにくくなります。だからこそ、まずは一言、次に確認、最後に見える形。この順番で整えるのがおすすめです。
出典:https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/pdf/231005_kenshu04.pdf(内閣府「対人コミュニケーション」)

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