【防災士が解説】夏の避難で熱中症を防ぐ|キャンピングカー避難の対策グッズと使い方

真夏の災害は、「避難できたのに体調を崩す」ケースが起きます。特にキャンピングカー避難は、日陰の取り方・換気・水分管理を間違えると車内が高温になりやすいのが落とし穴です。被災地の現場でも、暑さで頭痛や吐き気を訴える人は珍しくありませんでした。命を守るために、熱中症対策は“持つ”だけでなく“使い方を決める”ところまでセットで準備しましょう。

目次

  • ■① 夏のキャンピングカー避難で熱中症が起きやすい理由
  • ■② 最小で効く「熱中症対策グッズ」必須セット
  • ■③ 車内の温度を下げる:日よけ・換気・配置のコツ
  • ■④ 水分・塩分の管理:失敗しない運用ルール
  • ■⑤ 体を冷やす:冷却の優先順位(首・わき・鼠径部)
  • ■⑥ 子ども・高齢者・持病のある人の強化ポイント
  • ■⑦ 予兆が出たときの初動:車内での応急対応
  • ■⑧ 今日の最小行動:5分で作る「車内ルール」
  • ■結語

■① 夏のキャンピングカー避難で熱中症が起きやすい理由

キャンピングカーは屋外より安全に見えますが、夏は「車内が熱をためる箱」になりがちです。停車中は風が抜けず、直射日光で天井と窓から熱が入ります。さらに避難直後は疲労と緊張で水分摂取が遅れ、汗で塩分も失いがちです。

被災地では、体育館や公民館に入れず車で待機する家庭も多く、夜になっても熱が抜けず「眠れない→回復しない→さらに弱る」という悪循環を何度も見ました。夏の避難は、環境づくりと運用ルールが9割です。


■② 最小で効く「熱中症対策グッズ」必須セット

まずは“持っていれば戦える”最小セットです。高価な装備より、確実に使えるものを優先します。

  • 飲料水(常温で飲める分+冷やせる分)
  • 経口補水液(粉末でも可)/塩分タブレット
  • 冷却タオル・冷感シート(使い捨てタイプ含む)
  • 瞬間冷却剤(叩いて冷えるタイプ)
  • うちわ(電力ゼロの切り札)
  • 携帯扇風機(予備電池 or 充電手段とセット)
  • 遮光:サンシェード/遮光シート/タオル・毛布(窓用)
  • 体温チェック用:体温計(できれば非接触タイプ)
  • 嘔吐や汗対策:ビニール袋、替え下着、ウェットティッシュ

現場感としては、冷却剤より「日よけ」と「飲める水」のほうが効きます。冷却は最後の手段になりがちなので、先に“熱を入れない”仕組みを作ります。


■③ 車内の温度を下げる:日よけ・換気・配置のコツ

やることはシンプルです。「日陰」「風の通り道」「熱源の隔離」。

  • 可能なら日陰へ移動(建物の影、立体駐車場、木陰)
  • 直射が当たる窓を最優先で遮光(特にフロント・天窓)
  • 2か所以上の窓を少し開けて“風の通り道”を作る
  • 熱がこもる上段(ベッド上・天井近く)に人を寝かせない
  • 車内で火を使わない(調理・湯沸かしは温度と湿度を上げる)

被災地でよくある失敗が「プライバシー優先で全部閉め切る」ことです。閉め切りは体力を削ります。遮光しつつ、換気は確保する。この両立が大事です。


■④ 水分・塩分の管理:失敗しない運用ルール

熱中症対策は“気合い”ではなく“ルール”です。避難生活は集中力が落ちるので、仕組み化しないと崩れます。

  • 1時間に1回、全員が飲む(量は少なくていい)
  • 汗をかいたら「水+塩分」をセットにする
  • お茶・コーヒーだけに偏らない(飲んだ気になる罠)
  • 「のどが渇いてから」は遅い。渇く前に飲む
  • トイレが不安で飲まないのは逆効果(脱水で悪化する)

現場でも「トイレが嫌で水を控えた人」が夕方に一気に崩れる場面がありました。飲む量を減らすより、トイレ対策(簡易トイレ・携帯トイレ)を先に整えるほうが安全です。


■⑤ 体を冷やす:冷却の優先順位(首・わき・鼠径部)

暑さが強い日は、冷却の当てどころが大事です。全身を冷やすより、太い血管が通る場所を狙います。

  • 首の両側(頸動脈付近)
  • わきの下
  • 足の付け根(鼠径部)

冷却タオルや保冷剤をタオルで包み、短時間で当てます。冷やしすぎると震えが出て逆に体力を消耗するので、「冷却→休む→水分塩分→様子を見る」の順で回します。


■⑥ 子ども・高齢者・持病のある人の強化ポイント

同じ暑さでも、弱る速度が違います。

  • 子ども:汗で脱水が早い/自分で不調を言えない
  • 高齢者:暑さを感じにくい/水分摂取が遅れやすい
  • 持病のある人:薬の影響や体温調整の弱さが出やすい

対応は「声かけ」と「先回り」です。

  • 2時間ごとに顔色・汗・呼吸をチェック
  • “休ませる場所”を最優先で確保(横になれるスペース)
  • 体調が怪しい人は、先に冷却と水分塩分を入れる

避難所でも車でも、遠慮して我慢した人から崩れます。暑さは努力で耐えない。これを家族ルールにしてください。


■⑦ 予兆が出たときの初動:車内での応急対応

次のサインが出たら、迷わず動きます。

  • 頭痛、めまい、吐き気
  • 立ちくらみ、ふらつき
  • 変に汗が止まる/皮膚が熱い
  • ぼーっとする、返事が遅い

初動はこの順番です。
1) 直射日光を切る(移動 or 遮光強化)
2) 風を入れる(換気、うちわ、扇風機)
3) 冷却(首・わき・足の付け根)
4) 水分+塩分(飲めるなら少量ずつ)
5) 改善しない・意識が怪しい・嘔吐が続くなら救急要請

被災時は「様子見」が一番危険です。早い段階で止めれば、重症化を防げます。


■⑧ 今日の最小行動:5分で作る「車内ルール」

今すぐ決めるだけで効果が出ます。

  • 「1時間に1回、全員飲む」を合図で固定(アラームでもOK)
  • 窓の遮光の順番を決める(どこから貼るか)
  • 換気の型を決める(どの窓を何cm開けるか)
  • 冷却の場所を家族で共有(首・わき・足の付け根)
  • 体調不良が出たら“遠慮しない”を合言葉にする

■結語

夏の避難は、熱中症対策がそのまま「生存戦略」です。キャンピングカー避難は自由度が高い分、閉め切り・水分不足・暑さの我慢で失敗しやすい。日よけ・換気・水分塩分のルールを先に作り、冷却は補助として使う。この順番で、避難生活の体力を守れます。

出典:厚生労働省「熱中症にならないために 予防の行動」https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/prevent.html

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