【防災士が解説】大規模地震の備え「7割不足」日赤調査が示す現実と、今日から埋める方法

「自分は大丈夫」と思っていても、いざ大規模地震を想定すると不安が出る。今回、日本赤十字社の調査で「備えが不足している」と感じている人が約7割にのぼることが示されました。
これは怖がらせる数字ではなく、「多くの人が同じ不安を抱えている」という事実です。不安は、行動に変えれば軽くできます。この記事では、教訓を生活に落とすための“現実的な埋め方”を整理します。


■① 結論|備えが不足している人が多いのは普通。だからこそ「小さく埋める」が勝ち

備えは、完璧を目指すほど止まります。多くの人が「足りない」と感じているのは、備えの項目が多く、生活に落とし込みにくいからです。
大事なのは、理想の100点ではなく、今日から“穴を一つずつ埋める”ことです。1つ埋めれば、次の判断が軽くなります。


■② 調査が示したポイント|「不足の自覚」はあるのに、行動に変わりにくい

日赤の調査では、大規模地震を想定したとき「自分の対策が不足している」と考える人が約7割でした。
不足を感じること自体は悪くありません。問題は、何から手を付けるか分からず、結果として何も変わらないことです。備えは“やる気”ではなく“順番”で進みます。


■③ 教訓が継承されにくい理由|記憶は薄れる。生活は忙しい。だから仕組みにする

教訓が継承されないのは、意識が低いからではありません。
・日常が忙しく、優先順位が下がる
・災害が起きていない時期ほど実感が薄れる
・備えが「道具の購入」に寄りやすく、行動に結びつきにくい
だからこそ、仕組みにします。買って終わりではなく、暮らしの中で回る形にすることが継承です。


■④ 不足を埋める最短ルート|「命」「生活」「情報」の3つに分ける

備えを全部やろうとすると止まります。まずは3つに分けます。
・命を守る:家具転倒防止、避難経路、火の始末
・生活を守る:水・食・トイレ・電源の最低ライン
・情報を守る:家族連絡、避難先、充電とラジオ
この3分類にすると、自分の穴が見えます。見えた穴から一つだけ埋めればいいです。


■⑤(防災士から見た実際に多かった失敗)「備えたつもり」が一番危ない

よくある失敗は、備えた“つもり”になっていることです。
・突っ張り棒を付けたが、設置位置や向きがズレて効果が落ちている
・非常持出袋を作ったが、家族全員分ではない/季節が合っていない
・水や電池があるが、どこにあるか家族が知らない
備えは「置いた」ではなく「効く」までがセットです。点検の一回で、効果が一気に上がります。


■⑥ 未来につながる“今日の一手”|5分でできるチェックを固定化する

不安をなくす最短は、行動を小さくすることです。今日やるならこれです。
・家具の危ない場所を1か所だけ決めて、転倒対策の不足を確認
・水を家族人数×1日分だけ確保(まずは1日でOK)
・トイレ対策(簡易トイレ or 代替手段)を1つ決める
・家族の集合場所を1つ決めて、メモを共有
5分でもやれば、次の判断が軽くなります。備えは連続で効いてきます。


■⑦(一次情報)被災地対応で痛感したのは「備えの差」より「準備の差」だった

被災地派遣やLOとして現場に入ると、物があるかよりも「すぐ使えるか」で差が出ました。
同じ非常袋でも、置き場所が分からない、電池が切れている、家族が手順を知らないと機能しません。逆に、最低限でも“使える状態”にしている家庭は、判断が早く、混乱が小さかったです。
教訓は、特別な準備ではなく、生活に溶けた準備に落ちます。


■⑧ 教訓を継承するコツ|年1回の「家の防災点検日」を作る

継承は気持ちでは続きません。日付で続きます。
・誕生日
・3月11日前後
・防災の日(9月1日前後)
このどれかに「家の防災点検」を固定すると、教訓が生活に残ります。点検は大掛かりでなくていいです。水と電池と家族連絡、これだけでも価値があります。


■まとめ|備え不足の7割は“スタート地点”。小さく埋めれば、不安は確実に減る

日赤の調査で、多くの人が大規模地震への備えに不足を感じていることが示されました。これは悲観材料ではなく、行動を始める合図です。備えは完璧を目指さず、「命・生活・情報」に分けて、穴を一つずつ埋めれば十分に前進します。

結論:
備えは100点より、今日の1点。小さく埋めるほど、不安は軽くなり、教訓は生活に残ります。
防災士として災害対応の現場を見てきた実感として、助かったのは“特別な備え”より“すぐ使える準備”でした。今日、1つだけ穴を埋めてください。それが未来につながります。

出典:日本赤十字社「大規模災害への対策7割が「できていない」と回答~8割超は『忘れてはならない災害』と認識も、継承が課題に~」(2026年2月17日)
https://www.jrc.or.jp/press/2026/0217_051409.html

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