人が突然倒れると、周囲はパニックになりやすいです。けれど失神の現場で大切なのは、焦って抱き起こすことではなく、「命に関わる状態か」を見極めて、安全に救急要請へつなぐことです。失神は一時的で回復することもありますが、心臓や脳の異常が隠れている場合もあります。正しい手順を知っておくことが、判断を軽くし、救える可能性を上げます。
■① 失神とは何か(気絶との違い)
失神とは、一時的に脳への血流が不足して意識を失い、短時間で回復する状態を指します。一般には「気を失った」と表現されます。原因は立ちくらみのような軽いものから、不整脈や出血、脳卒中など重いものまで幅があります。「すぐ起きたから大丈夫」と決めつけないのが重要です。
■② まずやるべきは“安全確保”と“反応の確認”
倒れた人を見たら、最初にすることは2つです。
・周囲の安全確保(車道、階段、危険物)
・反応の確認(声かけ、肩を軽くたたく)
ここで反応がなければ、次に呼吸を確認します。危険な場所なら、可能な範囲で安全な場所へ移しますが、無理な移動はしません。
■③ 呼吸がない/普段通りでないなら、ただちに119番とAED
失神と見えても、心停止が紛れていることがあります。
・呼吸がない
・普段通りの呼吸ではない(あえぎ呼吸など)
この場合は、失神ではなく心停止を疑い、
・119番通報
・AED手配
・胸骨圧迫(心臓マッサージ)
を同時進行で行います。迷ったら、心停止寄りに判断する方が救命につながります。
■④ 呼吸がある場合の基本姿勢(無理に起こさない)
呼吸があり、反応が戻りそうでも、無理に立たせたり抱き起こしたりしないのが基本です。
・仰向けで寝かせる
・可能なら足を少し高くする
・きつい服をゆるめる
・周囲の人だかりを避け、空気を通す
急に起こすと再び倒れて二次外傷につながります。
■⑤ 見逃してはいけない危険サイン(即救急要請)
次のサインがあれば、失神でも「危険な原因」を疑い、119番を優先します。
・胸痛、動悸、息苦しさ
・けいれん、ろれつが回らない、片側の麻痺
・頭を強く打った
・意識が戻らない/繰り返し失神する
・真っ青、冷汗、脈が弱い
・妊娠中、高齢、心臓病の既往
“回復したから大丈夫”ではなく、“危険サインがないか”で判断します。
■⑥ 通信指令への口頭指導が命を守る(119番で伝えること)
119番では、通信指令員が口頭で指導することがあります。慌てず、次を短く伝えると救急隊の到着前対応が進みます。
・意識があるか
・呼吸があるか(普段通りか)
・倒れた状況(突然/立ち上がった直後/運動中)
・胸痛や麻痺など危険サイン
・年齢、持病、服薬(分かる範囲)
口頭指導は、専門の人が現場の行動を整える仕組みです。
■⑦ 被災地派遣(LO)で感じた「情報があるだけで救急は速くなる」
被災地派遣(LO)の現場では、救急資源が逼迫し、到着まで時間がかかる場面がありました。そのとき、現場での観察情報が整理されているほど、救急側の判断が速くなります。失神は軽いこともありますが、重い原因が隠れることもあります。だからこそ「呼吸」「危険サイン」「倒れた状況」を伝えられることが、命を守る備えになります。
■⑧ 今日できる最小の備え(家庭・職場)
・AEDの場所を確認する(職場、学校、施設)
・119番で何を聞かれるかを家族で共有
・持病や薬の情報をスマホのメモにまとめる
・転倒を減らすために足元を片付ける
失神対策は、救命だけでなく二次外傷予防にも直結します。
■まとめ|失神は軽いこともあるが、重い原因もある。呼吸と危険サインで判断し、119番でつなぐ
失神は一時的な意識消失ですが、心臓や脳の重大疾患が隠れていることがあります。まず安全確保と反応・呼吸の確認を行い、呼吸がない/普段通りでない場合は心停止を疑って119番とAED、胸骨圧迫へ。呼吸がある場合でも無理に起こさず、危険サインがあれば救急要請を優先します。119番では状況を短く整理して伝えることが救命につながります。
結論:
倒れた人は「まず呼吸」。普段通りでなければ心停止を疑い、119番・AED・胸骨圧迫へ。
防災士として、被災地派遣(LO)で救急が逼迫する状況を見ました。到着までの数分を、正しい手順でつなぐことが、助かる可能性を確実に上げます。
出典:https://www.jrc.or.jp/study/guideline/

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