【防災士が解説】家は無事でも生き残れない?「中間被災者」の恐怖5選

地震対策

東日本大震災では、家が全壊した人だけが被災者ではありませんでした。

住宅に大きな被害はなくても、水や電気が止まり、生活が困難になる。
こうした人たちは、近年「中間被災者」と呼ばれることがあります。

ただし、この言葉は行政の正式分類ではありません。
今回は、この概念を正しく整理しながら、在宅避難の考え方を解説します。


■① 「中間被災者」は行政用語ではない

まず大前提として、「中間被災者」は内閣府や防災白書で定義された公式区分ではありません。

行政の被害区分は、

・全壊
・半壊
・一部損壊

などの物的被害に基づいています。

その中に「中間被災者」という正式なカテゴリーは存在しません。


■② それでも使われる理由

一方で、研究者や被災支援NPO、報道・教育現場では、

・在宅避難者
・ライフライン途絶による生活困難層

を説明する概念として「中間被災者」という言葉が使われています。

つまり、公式定義ではないものの、
実態を説明する“説明的概念”として意味を持つ言葉です。

現場感覚としても、この層は確実に存在します。


■③ 在宅避難=常に正解ではない

誤解してはいけないのは、「在宅がベスト」とは限らないという点です。

医療や福祉を必要とする世帯、
高齢者のみの家庭、
支援が必要な障がいのある方がいる世帯では、

在宅避難が困難な場合もあります。

防災士として強調したいのは、
状況に応じた判断が重要だということです。


■④ ハザードマップで判断が変わる

洪水・津波・土砂災害などのリスクが低い地域では、
地震後に住宅が無事であれば在宅避難が現実的です。

一方で、

・浸水想定区域
・土砂災害警戒区域
・津波浸水想定区域

では、事前避難(立退き避難)が必要になります。

ハザードマップの確認は、自律型避難の第一歩です。


■⑤ 地域防災計画も確認する

より正確に判断するには、自治体の「地域防災計画」も確認するとよいでしょう。

そこには、

・避難所開設基準
・想定被害
・支援体制

などが記載されています。

ハザードマップと地域防災計画をあわせて確認することで、
自宅避難か避難所かの判断精度が上がります。


■⑥ 現場で見た“見えにくい被災”

被災地派遣(LO)として活動した際、
家は無事でも生活が困難になっている家庭を多く見ました。

水が出ない。
トイレが流れない。
電気が止まり、情報が入らない。

外からは「無事」に見えても、
中では日常が壊れています。

この層をどう支えるかが、地域防災の課題です。


■⑦ 在宅避難の備えが地域を支える

在宅避難を想定する家庭が、

・水
・簡易トイレ
・非常食
・電源確保

を整えていれば、救急・消防の負担は軽減されます。

自助の力が強まるほど、
本当に支援が必要な場所へ資源を回せます。

これは現場で強く実感したことです。


■⑧ 言葉よりも実態を見る

「中間被災者」は公式定義ではありません。

しかし、

・ライフラインが止まり
・避難所に行かず
・生活が困難になる層

は確実に存在します。

言葉の是非よりも、
その実態に目を向けることが重要です。


■まとめ|非公式だが、現実を表す概念

「中間被災者」という用語は、行政上の正式分類ではありません。

しかし、在宅避難者やライフライン途絶による生活困難層を的確に表す説明的概念として、現場では意味を持っています。

重要なのは、

・ハザードマップを確認する
・地域防災計画を確認する
・自宅避難か立退き避難かを判断する

というプロセスです。

結論:
用語の正確性と同時に、実態を正しく理解し、自分の地域で何が起きるかを考えることが防災の第一歩です。

元消防職員として断言します。
「どこまでが被災者か」という線引きよりも、
自分がどの立場になり得るかを想定することの方が、はるかに重要です。

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