富士山噴火では、溶岩流や噴石よりも、首都圏を含む広範囲に影響を及ぼすのが「火山灰」です。大量の降灰が発生した場合、むやみに避難所へ向かうよりも、自宅での在宅避難が原則とされるケースがあります。被災地での避難支援経験を踏まえながら、降灰時の正しい行動と在宅避難の考え方を整理します。
■① 富士山噴火で最も現実的な被害は「火山灰」
富士山が噴火した場合、風向き次第では首都圏にも数センチから十数センチの火山灰が降ると想定されています。火山灰は雪のように見えても、非常に重く、硬く、溶けません。過去の宝永噴火では、火山灰によって農地・生活道路・建物が長期間使えなくなりました。
■② 降灰時は「原則在宅避難」が基本になる理由
火山灰が降っている最中は、屋外の移動自体が危険です。視界不良、滑りやすい路面、車両トラブルが同時に発生します。東日本大震災や能登半島地震でも、無理な移動が事故や体調悪化につながった例を多く見てきました。建物の倒壊リスクがなければ、屋内に留まる判断が命を守ります。
■③ 火山灰が降ると止まるライフライン
火山灰は電気・水道・交通に深刻な影響を与えます。鉄道は微量の灰でも停止し、車はスリップやエンジントラブルを起こします。浄水場が機能低下すれば断水が発生します。熊本地震や能登地震でも、物流停止が生活を直撃しました。最低でも7〜10日分の備蓄が重要です。
■④ 降灰時に外出が必要な場合の最低限の装備
やむを得ず外に出る場合は、ゴーグル、マスク(できれば防塵用)、長袖・長ズボン、長靴が必要です。火山灰は目や喉を強く傷つけます。被災地では「少しだけなら大丈夫」という油断が事故につながりました。完全防備が前提です。
■⑤ 在宅避難中にやってはいけない行動
火山灰を水で流して排水溝に流すと、配管が詰まり復旧が遅れます。ベランダや屋根の灰を無理に掃除するのも危険です。能登地震でも、高所作業中の転落事故が多発しました。灰は「無理に片付けない」が原則です。
■⑥ 家の中で注意すべきポイント
窓や換気口はしっかり閉め、灰の侵入を防ぎます。エアコンや換気扇は停止します。灰が室内に入ると電子機器の故障原因になります。地震被災地で経験しましたが、細かな粉じんは想像以上に生活を蝕みます。
■⑦ 火山灰災害は「長期戦」になる
宝永噴火では噴火活動が約2週間続きました。火山灰は一日で終わりません。能登半島地震の避難生活でも感じましたが、数日耐える備えと、1週間以上を想定した備えでは安心感が全く違います。
■⑧ 今日からできる現実的な備え
富士山噴火は「いつか」ではなく「起きてもおかしくない災害」です。飲料水・食料の備蓄、防塵マスク、ゴーグルの準備、在宅避難を前提にした生活シミュレーションを家族で一度話し合っておくことが、最も効果的な減災になります。

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