電気が戻った。
水も少し出る。
外見も大きく崩れていない。
でも、ここで迷います。
「この家、今日から住んでいいのか?」
さっと始めるなら、“命に直結する順”に見るだけでOKです。
■① 結論|迷ったら「3つの危険」だけ先に潰す
復旧直後の判断は、全部を完璧に点検する必要はありません。
最優先は、この3つです。
1) 倒壊・落下(構造の危険)
2) 火災・爆発(電気・ガス)
3) 一酸化炭素・健康被害(換気・水・カビ)
この3つをクリアできないなら、原則「一時退避」を選びます。
■② まず外から|近づく前に見る「危険サイン」
玄関に入る前に、家の外で確認します。
・建物が明らかに傾いている
・基礎に大きな亀裂、柱が浮いている
・外壁が大きく剥がれ、内部が見えている
・屋根瓦やアンテナが今にも落ちそう
・塀やブロック塀が膨らんでいる
・電線が垂れ下がっている、火花が出ている
1つでも強いサインがあれば、無理に入らない。
自治体や専門家の確認を待つ判断が安全です。
■③ 室内の構造|「住めない可能性が高い」チェック
入れる状態でも、室内で次を見ます。
・柱、梁(はり)に大きな亀裂
・ドアや窓が歪んで開閉できない(急に悪化した)
・床が波打つ、沈む、明らかな段差
・天井がたわむ、落下しそう
・階段がズレている、踏むと軋む
余震が続く時期は、少しの損傷でも一気に悪化します。
この項目が強い場合は、「寝泊まりはしない」が基本です。
■④ 火災予防|復旧直後に一番多い“やりがち”
復旧後に増えるのが通電火災です。
防災現場で多かった失敗は、電気が戻った瞬間にこうすること。
・倒れた家電をそのまま通電
・濡れたコンセントをそのまま使用
・破損した延長コードを再使用
・ホコリが詰まったタコ足配線を放置
やることはシンプルです。
・ブレーカーは一度OFF→安全確認後にON
・家電は「濡れ・変形・焦げ臭」なら使わない
・コンセント周りに焦げ跡、変色があれば使用禁止
・延長コードが熱い、柔らかい、変形は即廃棄
■⑤ ガス・水|「臭い」と「濁り」は軽視しない
ガスは、臭いがした時点でアウトです。
・ガス臭がする
・元栓周りが破損している
・給湯器が傾いている、配管が外れている
この場合は、元栓を閉めて、事業者の点検を待ちます。
水は、次を確認します。
・赤茶色、濁りが強い
・異臭がする
・水が出たり止まったりする(空気を噛む)
濁りがある水は、飲用に回さない。
生活用と飲用を分けるだけでも、体調悪化を防げます。
■⑥ カビ・健康|復旧後に効いてくる“静かなリスク”
洪水や雨漏りが絡むと、家は一気に傷みます。
・壁紙が浮く、剥がれる
・床が湿っている、ふわふわする
・押し入れや天井裏のカビ臭
・結露が続く
避難生活で体力が落ちていると、カビや埃が効きます。
換気できない家での寝泊まりは、無理しない方がいい。
■⑦ 「住める」判断の目安|最低限の生活ライン
迷ったら、最低限の条件を決めてください。
・安全に出入りできる(落下物がない)
・寝る場所に落下物がない(頭上が安全)
・火災リスクを潰せている(電気・ガス)
・トイレと飲用水の確保がある程度できる
・暖房/暑さ対策が最低限できる
これが揃わないなら、無理に自宅に戻らず、
一時避難や親族宅を選んだ方が回復が早いです。
■⑧ 今日できる最小行動|「点検セット」を玄関に置く
とりあえず1つからでOKです。
・軍手
・懐中電灯
・マスク
・スリッパ(厚底)
・養生テープ
・メモ(危険箇所を書いて貼る)
復旧直後は、焦って動いてケガをする人が増えます。
玄関に“点検セット”があるだけで、行動が落ち着きます。
■まとめ|復旧はゴールじゃない。安全確認が本当のスタート
結論:
「倒壊・火災・健康リスク」の3つを先に潰せないなら、住まない判断が最強の防災。
被災地派遣で何度も感じたのは、復旧直後こそ事故が増えるということです。
焦って戻るより、危険を減らしてから戻る。
それが家族を守る現実的な選択になります。
出典:内閣府 防災情報のページ(災害時の安全確保)

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