【防災士が解説】支援が来るまでの72時間をどう持つか 避難所で最初の3日を壊れずに過ごす考え方

災害直後の避難所では、「すぐに十分な支援が届く」とは限りません。もちろん行政や支援機関は動きますが、道路状況、天候、被害の広がり、人手不足などで、必要な物資や情報がそろうまで時間がかかることがあります。だからこそ大切なのが、支援が本格化するまでの最初の72時間をどう持つかという考え方です。防災の視点で言えば、この3日間は我慢比べではなく、「壊れないように過ごす期間」です。完璧を求めるより、体力・水分・睡眠・情報・心の安定を少しずつ守る方が、結果として次につながりやすくなります。


■① なぜ72時間が大事なのか

災害時によく言われる72時間は、救助や支援、物資供給の初動が本格化するまでの一つの目安です。避難所に入ったからといって、すぐに十分な食事、寝具、プライバシー、衛生環境が整うとは限りません。最初の3日間は、生活を立て直すというより、「崩れないように持ちこたえる」時間と考えた方が現実的です。

元消防職員として被災地派遣やLOの現場で感じてきたのは、最初の72時間に無理をしすぎた人ほど、その後に一気に疲れが出やすいということです。だからこそ、この3日間は全力で頑張るより、壊れないことを優先した方が安全です。


■② 最初に守るべきは「水」と「排泄」

支援が本格化する前にまず守りたいのは、水と排泄です。食事は多少不規則でも持ちますが、水分不足とトイレ不安は体調をかなり早く悪化させます。しかも、トイレを気にして水を控えると、脱水、便秘、頭痛、集中力低下につながりやすくなります。

防災士として見ると、最初の72時間は「何を食べるか」より「水を切らさないこと」と「我慢しないで排泄できること」の方が優先度は高いです。ここが崩れると、その後の生活全体が苦しくなります。


■③ 食事は“十分”より“切らさない”を意識する

避難所の最初の食事は、量も内容も不安定になりやすいです。だからこそ、最初の3日間は栄養バランスの理想を追うより、「何も入らない状態を避ける」「少しでもエネルギーを切らさない」ことが大切です。配布物、手持ちの非常食、持参した菓子類やゼリーなどでも構いません。まずは空腹で一気に弱らないことが重要です。

被災地派遣やLOの現場でも感じたのは、人を先に弱らせるのは豪華さの不足ではなく、「次いつ食べられるか分からない不安」と「何も入らない時間の長さ」でした。最初の72時間は、食事を整えるより、切らさないことが大事です。


■④ 睡眠は“深く眠る”より“少しでも休む”

避難所の最初の3日間は、環境が落ち着かず、深く眠れないことも珍しくありません。だからこそ、「ちゃんと眠れない」と焦るより、「少しでも横になる」「目を閉じる」「体を冷やしすぎない、暑くしすぎない」ことを優先した方が現実的です。短くても休める時間を拾っていくことが大切です。

防災士として現場で見た“誤解されがちポイント”の一つは、眠れないなら起きて動いた方がよいと思ってしまうことです。実際には、眠れなくても横になるだけで体力の減り方は変わります。最初の72時間は、良い睡眠より休息確保が優先です。


■⑤ 情報は“多く集める”より“必要なものを絞る”

災害直後は不安から情報を追い続けたくなりますが、それ自体がかなり疲れます。最初の72時間は、全部を知ろうとするより、「今の避難所のルール」「次の配布」「トイレ」「天候」「家族の安否」など、自分に必要な情報へ絞る方が安全です。情報を追いすぎると、心が休まらず、判断も散りやすくなります。

元消防職員として被災地派遣やLOの現場で感じてきたのは、落ち着いている人ほど情報量が多い人ではなく、「今必要な情報だけを拾えている人」だということです。72時間を持たせるには、情報も省エネが大切です。


■⑥ 体力を減らす“細かい消耗”を減らす

最初の72時間で大事なのは、大仕事より細かい消耗を減らすことです。何度も並ぶ、何度も掲示板を見に行く、あちこち歩き回る、知り合いを探して移動し続ける。こうした小さな動きの積み重ねが、実はかなり体力を削ります。だからこそ、受付・配布・トイレ・寝場所を早めに押さえ、移動を減らす工夫が役立ちます。

防災士として実際に多かった失敗の一つは、「大変なのは大きな作業だけ」と思ってしまうことでした。実際には、最初の72時間では細かい往復の方が人を疲れさせやすいです。


■⑦ 心を守るには“先を考えすぎない”ことも大切

避難所の最初の3日間は、不安で頭が先へ飛びやすくなります。家はどうなるのか、仕事はどうなるのか、いつまでここにいるのか。もちろん大切なことですが、最初から全部を考えすぎると心がもたなくなります。だからこそ、まずは「今日をどう持つか」「次の半日をどう過ごすか」と、時間を小さく区切る方が現実的です。

元消防職員として被災地派遣やLOの現場で強く感じてきたのは、危機に強い人ほど遠い先ばかり見ず、「今ここを持たせる」ことに集中できるということです。72時間は、未来を全部考える時間ではなく、今日をつなぐ時間です。


■⑧ 支援が来るまでの72時間は“頑張る期間”ではなく“持たせる期間”

最初の72時間を乗り切る時に一番大切なのは、「みんなのために頑張らなければ」と背負いすぎないことです。もちろん助け合いは大切ですが、自分や家族が先に崩れてしまえば、その後の避難生活はもっと苦しくなります。だからこそ、最初の3日間は、無理を減らし、水とトイレを確保し、少し食べて、少し休み、必要情報だけを押さえ、体力を残すことが大切です。

元消防職員として被災地派遣やLOの現場で感じてきたのは、最初の72時間を壊れずに持たせた人ほど、その後も立て直しやすいということです。支援が来るまでの時間は、我慢大会ではなく、自分を守る時間だと思います。


■まとめ|支援が来るまでの72時間は「壊れないこと」を最優先にする

避難所で支援が本格化するまでの72時間は、完璧に過ごすことより、壊れずに持ちこたえることが大切です。特に優先したいのは、水、排泄、少しでも食べること、少しでも休むこと、必要な情報だけを押さえること、無駄に動きすぎないことです。この3日間を無理なく持たせることが、その後の避難生活や生活再建の土台になります。

結論:
支援が来るまでの72時間で最も大切なのは、頑張りすぎることではなく、水・排泄・休息・最低限の食事と情報を守り、壊れない状態を持ちこたえることです。
元消防職員として被災地派遣やLOの現場で感じてきたのは、最初の72時間を上手に持たせた人ほど、その後の避難生活でも崩れにくいということです。災害直後は前へ進むことより、まず自分を壊さないことが大切だと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました