学校防災で意外と見落とされやすいのが、「避難経路は知っているはず」という思い込みです。
避難訓練を毎年していても、教室が変われば動線は変わりますし、休み時間・特別教室・給食時など、場面が変わると子どもの動きも変わります。
そのため、避難経路は“覚えている前提”で進めるより、児童が自分の言葉で確認できる状態を毎年作り直す方が実践的です。
結論から言えば、教諭向けの避難経路児童確認ワークで重視したいのは、地図を見て覚えさせることより、「今いる場所から、どこを通って、どこへ行くか」を児童が説明できるようにすることです。
避難経路は暗記ではなく、状況に応じた行動の土台です。
だからワークも、見て終わるものではなく、話す・歩く・確かめる流れがある方が強いです。
元消防職員として現場感覚で言えば、避難で本当に危ないのは「経路を知らないこと」だけではありません。
知っているつもりで、今の場所からの動きに置き換えられないことです。
被災地派遣やLOの経験でも、落ち着いて動ける人は、完璧な知識がある人より、「自分はここからこう動く」と整理できている人でした。
学校でも同じです。
■① まず最初に確認したいのは「今の教室からどこへ行くか」
避難経路確認ワークを作るとき、一番最初に扱いたいのは今の教室からの避難です。
新年度は教室配置が変わるため、前年と同じ感覚では動けないことがあります。
そのため、まずは児童に
・今の教室の避難口はどこか
・最初にどちらへ曲がるか
・階段はどこを使うか
・最終的にどこへ集まるか
を確認させる方が入りやすいです。
ここで大切なのは、「前を見てついて行く」だけで終わらせないことです。
防災士として見ても、避難経路の確認は“連れて行かれる訓練”ではなく、自分で説明できる確認になっている方が、非常時に崩れにくいです。
■② 良い児童確認ワークは“地図を見る”だけで終わらない
避難経路ワークでありがちなのが、校内図を見せて線を引かせて終わる形です。
もちろんそれも入り口としては悪くありません。
ただ、本当に意味を持たせるなら、
・地図で確認する
・口で説明する
・実際に歩く
・終わった後に振り返る
この流れまである方が強いです。
たとえば、
「教室から保健室の前を通る?」
「この階段が使えない時はどうする?」
「並ぶ場所はどこ?」
といった問いを入れるだけでも、ワークはかなり実践的になります。
元消防職員としての感覚でも、避難時に役立つのは「見たことがある地図」より、一度でも自分の足で確かめた動きです。
だから児童確認ワークも、紙だけで完結させない方が実務的です。
■③ 児童確認ワークは“いつもの授業中”だけで作らない方がいい
避難経路は、授業中の教室だけで考えると少し弱いです。
実際には、理科室、家庭科室、図工室、体育館、校庭、廊下、トイレ、給食準備中など、いろいろな場面で避難が起こり得ます。
そのため、教諭向けワークでは少なくとも次のような場面を分けて考える方が実践的です。
・教室にいる時
・特別教室にいる時
・休み時間で廊下にいる時
・校庭や体育館にいる時
こうしておくと、児童も「避難経路は一つではない」と理解しやすくなります。
文部科学省の防災教育資料でも、学校の実態や災害状況に応じて避難経路や避難場所が変わることを踏まえた訓練が必要とされています。
つまり、避難経路ワークも、固定ルートの暗記より、場面が変わると動きも変わることを意識した方がいいです。
■④ 教諭が確認したいのは「児童が危険箇所に気づけるか」
避難経路ワークで大事なのは、道順だけではありません。
その途中にどんな危険があるかに気づけるかも重要です。
たとえば、
・物が落ちてきやすい場所
・混雑しやすい曲がり角
・滑りやすい場所
・扉の開閉で詰まりやすいところ
・階段の合流点
・避難口の前に物が置かれやすいところ
です。
学校安全資料でも、施設・設備の安全点検を行い、危険箇所の明示や除去、使用場所の変更などを行うことが示されています。
つまり、避難経路確認ワークも「通る道の確認」だけでなく、その道のどこが危ないかを見るワークにすると意味が大きくなります。
■⑤ 人員確認まで入っているワークの方が実務に強い
避難経路確認というと移動だけに意識が向きがちですが、学校防災で本当に大切なのは、全員が避難できたか確認するところまでです。
文部科学省系の実践資料でも、避難後の点呼や人員確認の流れが重視されており、誰がどこで報告するかまで整理されています。
そのため、児童確認ワークにも、
・避難場所に着いたらどこに並ぶか
・誰が点呼するか
・返事や合図はどうするか
・友達がいなかったらどう伝えるか
といった項目を入れておくと、かなり実務的になります。
元消防職員として強く感じるのは、避難で本当に怖いのは「移動の途中」だけではなく、誰がまだ来ていないかが分からないことです。
だからワークも、避難経路だけで終わらせず、人員確認までつなげた方が強いです。
■⑥ 低学年は“絵と動き”、高学年は“理由づけ”が入りやすい
児童確認ワークは学年によって作り方を変えた方が使いやすいです。
低学年なら、
・校内図にシールを貼る
・避難口に色をぬる
・先生と一緒に歩いて確認する
・危ない場所に丸をつける
のような、絵と動きが中心の形が入りやすいです。
高学年なら、
・なぜその経路を使うのか
・別ルートが必要な時はどんな時か
・混雑しそうな場所はどこか
・避難後の確認で何が大事か
といった、理由を言葉にさせる形が向いています。
防災士として見ても、避難経路の確認は年齢に応じて、
見つける→動く→説明する
の重心を変えると授業に入りやすいです。
■⑦ 現場経験を入れるなら“怖い話”より“迷いやすい場面”を入れる方がいい
避難経路の確認で現場経験を話す時、強い被害事例を前面に出したくなることがあります。
もちろん危険を知ることは大切です。
ただ、毎回そこを強く出しすぎると、児童には怖さだけが残ることがあります。
一次情報を入れるなら、
・曲がり角や階段の合流で止まりやすい
・出口に集中するとかえって動きにくい
・放送が聞こえない時でも近くの先生や周囲を見ることが大切
・避難後の点呼が遅れると全体が不安定になる
といった、迷いやすい現実として入れる方が授業になじみやすいです。
元消防職員・防災士として強く感じるのは、防災教育は“こわい”で終わるより、“次にこう動く”が残る方が意味が大きいということです。
避難経路ワークも、その方向で作る方が実践的です。
■⑧ まとめ
教諭向けの避難経路児童確認ワークで重視すべきなのは、地図を見て覚えさせることより、「今いる場所から、どこを通って、どこへ行き、避難後にどう確認するか」を児童が説明できる状態を作ることです。
そのためには、教室だけでなく特別教室や休み時間の場面も入れ、危険箇所と人員確認まで含めたワークにする方が強いです。
元消防職員として強く言えるのは、避難経路で本当に差が出るのは「ルートを知っていること」だけではなく、「今の場所から自分で動きに置き換えられること」です。
迷ったら、まずは今の教室から、話す・歩く・確認する。
その積み上げが、学校防災では一番現実的で役立つ児童確認ワークになります。

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