春はキャンプデビューに最適な季節です。
しかし実際にやってみると、「思っていたのと違う」と感じる場面は少なくありません。
私は元消防職員・防災士として現場を経験してきましたが、キャンプでの“つまずき”は、そのまま防災の弱点にもつながります。
ファミリーキャンプで直面しやすい5つの現実を、防災の視点から整理します。
■① サイトレイアウトで迷う|設営前に勝負は決まる
「どの向きにテントを張る?」
「車はどこに置く?」
「ロープがはみ出さない?」
設営前に手が止まるのは珍しくありません。
防災の現場でも、最初の配置判断で安全性が大きく変わります。
風の抜け方、地面の傾斜、水の流れ。これを読まずに設営すると、夜間の不安や転倒リスクが高まります。
<対策>
・他サイトのレイアウトを観察する
・余裕のある広めの区画を選ぶ
・風向きと水はけを最優先で確認する
被災地派遣でも感じましたが、「最初の判断」を誤ると後から修正が大変です。
■② 映え料理どころではない|体力を温存せよ
SNSのような豪華料理を作る余裕は、初心者にはほぼありません。
設営だけで想像以上に体力を消耗します。
これは防災と同じです。
非常時に凝った料理は不要です。
<対策>
・冷凍食品や時短メニューでOK
・アーリーチェックインで時間確保
・調理は“手抜き前提”で計画する
災害時も重要なのは「温かい」「すぐ食べられる」「後片付けが楽」です。
余裕を残す判断が、家族の機嫌と安全を守ります。
■③ 雨キャンプは想像以上に過酷
突然の雨は初心者には厳しい現実です。
・焚き火ができない
・トイレでずぶ濡れ
・撤収が地獄
雨は楽しさを一気に奪います。
能登半島地震の支援活動でも、雨と風は精神的な負担を倍増させました。
濡れることは体温低下と体力消耗につながります。
<対策>
・降水確率の低い日を選ぶ
・カッパと傘は必携
・無理ならキャンセルも選択肢
防災では「撤退判断」も立派な戦略です。
■④ 音は想像以上に響く
キャンプ場では音がよく響きます。
・車のドア
・薪割り
・ペグ打ち
・話し声
夜間は特に敏感になります。
避難所生活でも、音のトラブルは深刻です。
消灯後の物音はストレスになります。
<対策>
・消灯後は声量を落とす
・音の出る作業は日中に済ませる
・ジッパー音などにも配慮する
音への配慮は、防災における重要な“思いやり”です。
■⑤ 帰宅後の片付けで疲労がピーク
キャンプは帰宅後までが本番です。
・洗濯
・乾燥
・道具の手入れ
ここで体力が尽きます。
被災地対応でも、活動後のケアを怠ると翌日に響きます。
「終わり方」まで設計するのが防災思考です。
<対策>
・片付けは翌日に回す
・道具を軽量・コンパクト化
・持ち物を最小限にする
重い装備は疲労を蓄積させます。
軽量化は安全対策でもあります。
■⑥ キャンプは“防災の縮図”
キャンプの失敗は、防災の予習です。
・レイアウト判断
・体力配分
・天候対応
・騒音配慮
・撤収計画
これらはすべて災害時に直面する課題です。
私は元消防職員として断言します。
経験している人ほど、非常時に落ち着いて動けます。
■⑦ イメージと現実のギャップを埋める
「こんなはずじゃなかった」
そのギャップが大きいほど、ストレスは増します。
だからこそ、最初から“完璧を目指さない”ことが大切です。
楽しみながら、少しずつ慣れていく。
これは長期避難にも通じる考え方です。
■⑧ 家族の耐災害力を育てる場にする
キャンプは娯楽であり、訓練でもあります。
自然の中で不便を経験し、
工夫を覚え、
体力の限界を知る。
被災地派遣を通じて感じたのは、
“経験値”がある家族は強いという事実です。
■まとめ|失敗こそが備えになる
キャンプデビューは理想通りにはいきません。
しかし、その現実こそが防災力を高めます。
結論:
キャンプの失敗は、家族の耐災害力を育てる最高の教材になる。
元消防職員・防災士として伝えたいのは、
完璧なキャンプよりも、安全に終えるキャンプが大切だということです。
無理なく、長く続ける。
それが家族を守る備えになります。
出典:Yahoo!ニュース「春キャンプデビュー前に伝えたい!|ファミリーキャンプで直面した5つの現実」(2026年2月18日)

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