近年、林野火災の発生リスクが全国的に高まっています。令和7年2月の岩手県大船渡市、3月の岡山市・今治市での大規模林野火災を受け、消防庁と林野庁は連携して対策を強化し、新たな制度や運用の見直しが進められています。これから空気が乾燥し、強風が吹きやすい季節を迎えるにあたり、地域全体での警戒と備えが重要です。
■① 林野火災が増える時期と特徴
林野火災は一年を通して発生しますが、特に1月から増加し始め、2月から5月にかけて集中する傾向があります。出火原因の多くは自然発火ではなく、
・たき火
・火入れ
・放火(疑いを含む)
といった人的要因です。一度発生すると、乾燥や風の影響を受けて急速に拡大し、消火が極めて困難になるのが林野火災の特徴です。
■② 新たに創設された「林野火災注意報・警報」
大船渡市の火災を教訓に、林野火災注意報・林野火災警報が新たに制度化されました。これは、気象条件や地域状況を踏まえて発令され、火災予防行動を強化するための仕組みです。
特に林野火災警報が発令された場合は、
・火入れやたき火の禁止
・火の使用制限の徹底
・監視や広報パトロールの強化
などが求められます。条例改正前であっても、同等の気象条件下では消防法に基づく警報発令や注意喚起が重要とされています。
■③ 少雨・乾燥への備えと入山者への注意喚起
令和8年1月からは、気象庁による「少雨に関する気象情報」の運用も始まります。少雨が続く時期は、落ち葉や下草が乾燥し、わずかな火種でも延焼しやすくなります。
そのため、
・ハイカーや登山者への注意喚起
・たばこの投げ捨て禁止
・火遊び防止の徹底
を、新聞・テレビ・ラジオ・広報誌・ホームページなど、対象者に応じた手段で周知することが重要です。
■④ 火入れ・林業作業時のリスク管理
火入れを行う場合は、市町村長の許可を得て、その指示に従うことが法律で定められています。加えて、
・初期消火体制の準備
・気象状況を踏まえた実施判断
・関係行政機関との事前連携
が不可欠です。林業関係者や林内作業員に対しても、日頃から火気管理の徹底が求められます。
■⑤ 消防・防災関係機関の警戒と連携
林野火災の予防と拡大防止には、消防だけでなく、防災・林務・廃棄物処理など幅広い部局の連携が欠かせません。
・広報車や防災行政無線による呼びかけ
・水利の事前確認
・危険区域での警戒強化
を通じ、出火防止と初期対応力の向上を図る必要があります。
■⑥ 空中消火と早期応援要請の重要性
林野火災では、消防防災ヘリや自衛隊ヘリによる空中消火が極めて有効です。ただし、昼間限定・気象条件に左右されるという制約があります。
そのため、
・火災拡大の兆候を見逃さない
・時機を失しない応援要請
・地上と空中の連携消火
が、被害を最小限に抑える鍵となります。
■⑦ 林野火災は「起こさない防災」が最重要
林野火災は、発生してからでは対応が極めて難しい災害です。だからこそ、防災の本質は「出火させないこと」にあります。
・火を使う前に一呼吸置く
・風と乾燥を意識する
・地域全体で声をかけ合う
こうした日常の小さな行動が、大規模火災を防ぎ、地域と自然を守る力になります。林野火災は決して他人事ではありません。今こそ、警戒と備えを一段階引き上げる時期です。

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