はじめに
津波は「見てから逃げる」災害ではありません。
強い揺れ、または弱くても長い揺れを感じた沿岸部では、最初の10分で“勝負が決まる”場面が本当にあります。
この記事では、津波警報時に迷いを断つための「10分ルール」を、家庭で再現できる形に落とし込みます。
■① 津波は“情報待ち”を許してくれない
津波は到達が速く、さらに「第一波の到達予想時刻=その地域の最速到達」です。
場所によっては、予想より早く、また局所的に高くなることがあります。
結論はシンプルです。
沿岸部・川沿いにいるなら、情報を待たずに「高い場所へ移動」を開始する。
■② 10分以内に決断できる人が助かる理由
津波避難で一番の敵は「様子見」です。
- 家族に連絡してから
- 近所が動いたら
- テレビで確認してから
この“数分”が積み重なって、逃げ切れないケースが起きます。
津波は「到達してから気づく」のでは遅い。
だから、10分以内に行動を開始できるよう、事前ルールで迷いを消します。
■③ 10分ルール:迷いを消すマイルール(家族で固定)
家族でこれだけ決めてください。
- ルール1:強い揺れ or 弱くても長い揺れ → 海岸・川沿いなら即移動
- ルール2:津波警報(大津波警報含む)を見聞き → どこにいても即移動
- ルール3:「ここなら大丈夫」は禁止。より高い場所へ更新する
- ルール4:解除されるまで戻らない
この4つで、判断が“自動化”します。
■④ 車で逃げる?徒歩?迷いを減らす基準
原則は徒歩です。
渋滞が起きると、車は一気に危険になります。
ただし、例外もあります。
- 高台までの徒歩距離が遠すぎる
- 要配慮者がいて歩行が困難
- すでに安全方向へ動ける道路が確保されている
この場合は「最短で高い場所に到達できる手段」を優先します。
大事なのは手段ではなく、“高い場所に到達すること”。
■⑤ 子どもがいる家庭の優先順位(10分でできる範囲)
10分でやるのはこれだけで十分です。
- 靴を履かせる(ガラス・瓦礫対策)
- 抱っこ or 手をつなぐ(迷子防止)
- 「今は走る。着いたら落ち着く」と一言で説明する
子どもは情報よりも、親の行動で安心します。
説明は短く、行動を止めない。
■⑥ 現場で見た“遅れの原因”は「連絡」と「荷物」
被災地派遣・LO業務で強く感じたのは、避難が遅れる場面の多くが
- 家族・知人への連絡を優先する
- 荷物を取りに戻る
- 服装を整える
この3つです。
連絡は「避難して安全な場所に着いてから」で十分です。
荷物は“捨てる勇気”が命を守ります。
■⑦ やらなくていい防災(津波編)
- 津波を見に行く
- 玄関施錠や戸締まりに時間を使う
- 荷物を全部そろえてから動く
- 「到達予想がまだ先だから大丈夫」と待つ
津波は「今すぐ動いた人」が勝ちます。
■⑧ 今日の最小行動(1分でOK)
- 自宅・職場・通学路で「一番近い高い場所」を3つ決める
- “津波のときはここへ”を家族で共有する
- 海・川に近い時は「揺れたら即移動」を合言葉にする
この1分が、10分の迷いを消します。
まとめ
津波は「10分以内に動けるか」で結果が変わります。
情報待ち・連絡・荷物が、判断を遅らせます。
家族で“10分ルール”を固定し、沿岸・川沿いでは迷いゼロで高い場所へ。
それが最も現実的で、再現性の高い命の守り方です。
出典
気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/joho/tsunamiinfo.html

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