地震のあと、「道路が波打つ」「マンホールが浮く」「家が傾いて戻らない」といった被害が出ることがあります。これが液状化現象による典型的な被害です。液状化は、地震の揺れそのものより“地盤の性質”で被害が決まりやすいのが特徴です。だからこそ、仕組みを理解し、ハザード情報を確認し、やるべき備えを絞ることが大切です。
■① 液状化現象とは何か
液状化現象とは、地下水を多く含む砂地盤が地震で繰り返し揺さぶられることで、土の粒が支え合えなくなり、地盤が一時的に液体のように振る舞う現象です。その結果、地盤の支持力が低下し、建物や道路が沈下・傾斜したり、砂や水が地表に噴き出したりします。
■② 液状化が起きやすい場所の特徴
液状化は「どこでも起きる」わけではありません。起きやすいのは次のような場所です。
・埋立地、干拓地
・河川沿いの低地、三角州
・砂が多く、地下水位が高い地域
・過去に沼や田んぼだった土地
逆に、山地や岩盤に近い場所は相対的に起きにくい傾向があります。
■③ どんな被害が起きるのか(家・道路・ライフライン)
液状化の被害は「揺れが収まってから」顕在化することがあります。
・戸建ての沈下・傾き(ドアが閉まらない、床が傾く)
・道路の段差、陥没、波打ち
・上下水道管の破損、漏水
・マンホールの浮上
・ガス管の損傷
生活機能に直結するのが液状化の怖さです。
■④ 住宅の被害が分かれるポイント(基礎と地盤)
同じ地域でも被害が分かれることがあります。ポイントは、
・地盤改良の有無
・基礎形式(べた基礎等)
・建物の重量とバランス
・宅地造成の履歴
です。液状化は地盤の支持力が落ちるため、建物側の工夫だけでゼロにできるわけではありませんが、被害を小さくする方向には寄せられます。
■⑤ 被災地派遣(LO)で見た「液状化は生活再建を長引かせる」
被災地派遣(LO)の現場では、液状化で家が傾いた地区は、生活再建が長引く傾向がありました。倒壊していないのに住めない、修繕費が高い、インフラ復旧が遅れる。見た目の被害が小さく見えても、暮らしの回復は重くなることがあります。だからこそ、平時に「起きやすい場所かどうか」を把握しておくことが、判断を軽くします。
■⑥ まずやるべきはハザードマップ確認(最優先の備え)
液状化対策で最も費用対効果が高いのは、まず自宅や勤務先が液状化の想定区域かを確認することです。
・自治体の液状化ハザードマップ
・国土地理院の地形分類
・過去の土地利用(古地図)
これを確認するだけで、過剰な不安も、過小評価も減ります。
■⑦ 家庭でできる現実的な対策(全部やらない)
液状化は地盤の問題なので、家庭でできることは限られます。だからこそ、やることを絞ります。
・家具固定(揺れ被害は別で確実に減らせる)
・断水対策(飲料水+簡易トイレ)
・ガス遮断・漏れ確認の手順を家族で共有
・地震保険や修繕資金の備え(再建の現実策)
“地盤を変えられないなら、生活を止めない備え”に寄せるのが現実的です。
■⑧ 今日できる最小の一歩
・自治体の液状化ハザードマップで自宅周辺を確認する
・家の外の危険(ブロック塀、段差、玄関周り)を1か所だけ点検
・断水に備えて水を1日分だけ上乗せする
これだけでも、地震後の混乱は確実に減ります。
■まとめ|液状化は“揺れの強さ”より“地盤”で被害が決まる。まず想定区域を知ることが最強の備え
液状化現象は、地下水を多く含む砂地盤が地震で支持力を失い、地盤が液体のように振る舞うことで起きます。被害は住宅の沈下・傾斜、道路やライフラインの損傷など、生活の回復を長引かせやすいのが特徴です。対策の第一歩は、ハザードマップで自宅が想定区域かを確認し、地盤を変えられない前提で「生活を止めない備え」に寄せることです。
結論:
液状化対策の最優先は「自分の場所が想定区域かを知る」こと。知れば、備えは必要最小限に絞れて不安も減ります。
防災士として、被災地派遣(LO)で液状化地区の生活再建が長引く現実を見ました。だからこそ、平時に地盤リスクを把握し、断水や住まいの復旧に備えることが、最も現実的な防災になります。
出典:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/ekijoka.html

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