災害ボランティアで床下や浸水家屋の片付けに入ると、避けて通れないのが泥や汚水との接触です。一見するとただの泥に見えても、実際には川や側溝、下水、生活ごみなどが混ざっていることがあり、皮膚トラブルや感染症のリスクが高まります。厚生労働省は、浸水した家屋の清掃時には長袖・長ズボン・ゴム手袋・長靴・マスク・ゴーグルを着用し、泥や汚水に直接触れないこと、また作業後は手洗い・うがい・傷の確認を行うことを案内しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00341.html
つまり、災害ボランティアで泥や汚水に向き合う時に大切なのは、「少しくらい触っても大丈夫」と考えることではなく、見えない汚染を前提にして、最初から“皮膚を出さない・素手で触らない・傷を守る”という判断を持つことです。この記事では、その現実的な基準を整理して解説します。
■① まず結論として、泥や汚水への対応で最優先にすべきことは何か
結論から言うと、最優先にすべきことは、泥や汚水を“ただの汚れ”ではなく“感染源になりうるもの”として扱うことです。
災害ボランティアでは、「とにかく早く片付ける」ことに意識が向きやすいです。ですが、泥や汚水に直接触れると、皮膚のかぶれ、傷口からの感染、目や口からの汚染などにつながることがあります。だから、まず大事なのは作業スピードより、触れ方を間違えないことです。
元消防職員として感じるのは、浸水現場で危ないのは「大きな事故」だけではなく、「少しの油断で皮膚や傷口が汚染されること」でもあるという点です。私なら、泥の現場では
まず皮膚を出さない
次に素手で触らない
最後に作業後の洗浄を徹底する
この順で考えます。
■② なぜ泥や汚水がそこまで危険なのか
理由は、見た目では分からなくても、細菌や有害物質が混ざっている可能性があるからです。
厚生労働省は、浸水した家屋の清掃で感染症を発症するおそれがあると注意喚起しています。実際、泥水には生活排水や下水、腐敗した有機物などが混ざることがあり、皮膚が弱っている時や傷がある時は特にリスクが上がります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00341.html
被災地派遣の現場でも、「ちょっと触っただけ」「少し泥が入っただけ」で済ませて、あとからかゆみや赤み、傷の悪化が出ることがありました。だから私は、泥や汚水は“汚れているだけ”ではなく、“体に入れないもの”として考えます。
■③ どんな場面で直接触れやすいのか
直接触れやすいのは、次のような場面です。
泥をかき出す時
床下や狭い場所で体をついた時
ぬれたごみや布類を持ち上げる時
長靴や手袋のすき間から入る時
汗で腕まくりしてしまう時
つまり、気をつけているつもりでも、作業が長引くと接触が起きやすいです。特に暑い日は、防護具をずらしたくなりますが、その瞬間にリスクが上がります。私なら、疲れてきた時ほど装備を見直します。
■④ どんな装備が現実的に必要か
現実的に必要なのは、長袖・長ズボン・手袋・長靴・マスク・ゴーグルです。
厚生労働省も、浸水家屋の清掃時にはこうした防護具の着用を案内しています。大切なのは「何か着ける」ではなく、皮膚の露出を減らすことです。
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元消防職員としても、泥の現場では「作業しやすさ」だけで装備を軽くしすぎると、あとで後悔しやすいです。私なら、少なくとも
素手は出さない
足首を出さない
目を守る
この3つは外しません。
■⑤ 小さな傷がある時はどう考えるべきか
かなり注意した方がいいです。小さな傷でも、泥や汚水が入る入口になることがあるからです。
切り傷、すり傷、ひび割れ、虫刺されをかいた跡なども、現場では無視しない方が安全です。私なら、作業前に
傷がないか確認する
あるなら防水テープや絆創膏で覆う
深い傷があるなら作業内容を変える
ようにします。
被災地でも、「これくらい大丈夫」と思った小さな傷が、作業後にかなりしみたり、腫れたりすることがありました。だから、傷は“後で見るもの”ではなく“入る前に見るもの”です。
■⑥ 作業中に気をつけたいことは何か
作業中に大切なのは、顔・口・目を不用意に触らないことです。
泥や汚水そのものに触れるだけでなく、汚れた手袋で顔をぬぐう、汗を拭く、マスクをずらす、といった行動でも汚染が広がることがあります。私は、泥の現場では「手袋をしているから安全」ではなく、「手袋が汚染源になっている前提」で動きます。
だから、
顔を触る前に手袋を外す
飲み物を飲む前に手を替える
休憩前に手を洗う
といった区切りがかなり大事です。
■⑦ 作業後に一番大事なことは何か
作業後に一番大事なのは、すぐに手洗い・洗浄・着替えを行うことです。
厚生労働省も、作業後の手洗い、うがい、汚れた衣類の取り扱い、傷の確認を勧めています。つまり、作業が終わった時点で安全になるのではなく、体についたものを落とすまでが作業です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00341.html
私なら、作業後は
手を洗う
腕や首まわりも洗う
傷がないか確認する
服を早めに替える
この流れを固定します。その方が感染やかぶれを防ぎやすいです。
■⑧ こんな時は作業を止めた方がいい
次のような時は、無理に続けず一度止めた方が安全です。
手袋の中に泥水が入った
傷口に泥が入った感じがする
皮膚がしみる・かゆい・赤い
目に泥が入った
気分が悪く、衛生管理が雑になってきた
元消防職員としても、現場で危ないのは「最初の汚染」より、「そのまま続けて悪化させること」だと感じます。私なら、「あと少し」より「ここで洗う」を優先します。
■⑨ 迷った時の判断基準
迷ったら、次の順番で考えてください。
「その泥や汚水を“ただの汚れ”として扱っていないか」
「皮膚や傷口が露出していないか」
「素手や汚れた手袋で顔を触っていないか」
「作業後の洗浄と着替えまでを作業に含めているか」
この4つが整理できれば、災害ボランティアで泥や汚水に直接触れるリスクへの対応としてはかなり現実的です。防災では、「とにかく早く片付けること」より「汚染を体に入れないこと」の方が大切です。
■⑩ まとめ
災害ボランティアで泥や汚水に直接触れる時に大切なのは、泥や汚水を感染源になりうるものとして扱い、皮膚を出さず、素手で触らず、作業後の洗浄と傷確認まで徹底することです。厚生労働省は、浸水した家屋の清掃時に長袖・長ズボン・ゴム手袋・長靴・マスク・ゴーグル等の着用と、作業後の手洗い・うがい・傷の確認を案内しています。
私なら、泥の現場で一番大事なのは「触るか触らないか」ではなく「体に入れないこと」だと伝えます。被災地でも、助かったのは強く頑張れた人より、汚染を前提に慎重に動けた人でした。だからこそ、まずは露出を減らす、次に素手で触らない、最後に洗浄まで徹底する。この順番で整えるのがおすすめです。
出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00341.html(厚生労働省「被災した家屋での感染症対策」)

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