消防庁予防課から、令和7年1月から12月までの間に、技術上の規格に関する「基準の特例」を適用して販売等に供される消防用機械器具等について、情報提供が行われました。現場実務や立入検査、設計・維持管理に関わる担当者にとって重要な内容です。
■① 基準の特例とは何か
消防用機械器具等は、消防法令に基づく技術基準に適合することが原則ですが、新技術の導入や特定用途への対応のため、一定の条件下で「基準の特例」が認められる場合があります。
今回示された機器は、性能や安全性を確保したうえで、従来基準とは異なる仕様が正式に認められたものです。
■② 「○特」「○ト」マークの意味
特例基準を適用した検定対象機械器具等や自主表示対象機械器具等には、
・「○特」
・「○ト」
といった表示が付されています。
これは「特例基準適用品」であることを示す重要な識別表示であり、立入検査や設備確認の際に必ず確認すべきポイントです。
■③ 泡消火薬剤(特例基準)
今回対象となった泡消火薬剤には、以下のような特徴があります。
・使用濃度が従来と異なる(1.5%、3%など)
・駐車場用、特定駐車場用など用途限定
・低発泡仕様での使用
特に駐車場や大量可燃物を扱う施設では、用途限定条件を誤ると法令違反や性能不足につながるため注意が必要です。
■④ 火災報知設備の感知器(特例基準)
光電アナログ式スポット型感知器では、
・周囲温度に応じて煙感度を自動調整
・誤作動防止と早期感知の両立
といった新しい機能が認められています。
これは、近年問題となっている誤報対策と早期発見の両立を図る実務的に重要な進化です。
■⑤ スプリンクラー関連機器の特例
特例基準が適用されたのは、
・閉鎖型スプリンクラーヘッド(大量放水型)
・予作動式・湿式・負圧式などの流水検知装置
倉庫、危険物施設、大規模貯蔵施設など、火災荷重が大きい施設での消火性能強化を目的とした仕様が特徴です。
■⑥ 自主表示対象:大量送水用消防ホース
内径300mmの大量送水用平ホースも特例基準の対象となっています。
・急激な圧力変動が生じない用途向け
・大規模火災・広域応援での使用を想定
今後の大規模災害対応や広域消防の観点でも、実務的な意味は大きい装備です。
■⑦ 現場実務での注意点
特例基準適用品は「何でも使える」わけではありません。
・用途限定の有無
・設置対象物の制限
・設計・施工基準との整合
これらを必ず確認したうえで、適正に採用・指導することが重要です。
■⑧ まとめ|特例基準は進化だが理解が不可欠
特例基準の適用は、消防設備の進化と合理化を進める重要な仕組みです。一方で、現場が内容を正しく理解していなければ、性能を十分に発揮できません。
「○特」「○ト」の表示を見たら、仕様・用途・条件を必ず確認する。
それが、防災・消防の信頼性を守る第一歩です。

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