【防災士が解説】生活を守る防災|停電・断水でも“暮らしを崩さない”最小ルール

防災

災害で命が助かったあとに、じわじわ効いてくるのが「生活の崩れ」です。
停電、断水、通信不安、寒さ暑さ、トイレ、衛生。
ここが破綻すると、体調とメンタルが連鎖的に落ち、回復が遅れます。
この記事では、家庭でできる“生活を守る防災”を、最小ルールに絞って解説します。


■① 生活を守るとは何か|「3つの生命線」を切らさない

生活を守る防災は、次の3つを切らさないことに尽きます。

・水(飲む・衛生・トイレ)
・電気(情報・照明・充電・最低限の家電)
・清潔(手洗い・排泄・体温管理)

全部完璧は無理でも、どれか一つでも手当てがあると生活は崩れにくくなります。


■② 停電が起きたら最初にやること|“暗さ”より“情報”を確保

停電時にまずやるのは、照明より情報です。

・スマホを省電力モードにする
・家族のスマホを集めて残量を確認
・ラジオ/防災アプリ/自治体情報を確認
・夜間は足元灯(ヘッドライトが最強)

被災地派遣で実感したのは、停電そのものより「情報がない不安」が生活を壊すということ。
情報が入るだけで、人は驚くほど落ち着きます。


■③ 断水が起きたら優先順位|飲む→手洗い→トイレ

断水時の水の使い方には順番があります。

1) 飲み水(体調維持)
2) 手洗い(感染予防)
3) トイレ(衛生崩壊を防ぐ)

生活が崩れる最大の引き金はトイレです。
簡易トイレがあるだけで、家の耐久力が一気に上がります。


■④ トイレを守る|「1人1日5回」を前提に考える

トイレは精神を直撃します。
我慢は脱水、便秘、膀胱炎、睡眠不足につながり、生活が崩れます。

目安は
・1人1日5回
・3日なら15回分
・家族4人なら60回分

全部揃えなくてもOK。
まずは「家族分×1日分」から用意すると、現実的に続きます。


■⑤ 冷暖房が使えない日を想定|体温管理が“生活の土台”

停電で冷暖房が止まると、体調が一気に崩れます。

寒さ対策
・重ね着(首・手首・足首)
・アルミシート+毛布
・使い捨てカイロ(貼る場所を決める)

暑さ対策
・濡れタオル
・うちわ/扇子
・日中はカーテンで遮熱

元消防職員として現場で多かったのは、火災や倒壊だけでなく「寒さ・暑さで弱る」ケースです。
体温を守るのは、生活を守ることです。


■⑥ 衛生を守る|“洗えない”前提で清潔を作る

断水時は「洗えない」が前提です。

・ウェットティッシュ(手・体)
・アルコール(手指)
・ポリ袋(ゴミ管理)
・マスク(ホコリ・感染・臭い対策)

被災地では、体が汚れることより「不快感」が人を削ります。
清潔は贅沢ではなく、生活維持の道具です。


■⑦ 食事を守る|温かいものが“回復スイッチ”になる

食事は栄養だけではありません。
温かいものは、安心感と回復力を作ります。

・カセットコンロ
・ガスボンベ(目安:1人3日で3本ではなく、まず1〜2本から)
・温かい飲み物(粉末スープ、味噌汁)

被災地派遣の現場では、温かい汁物が出た瞬間に空気が変わる場面を何度も見ました。
生活を守る力は、こういう“小さな温かさ”にあります。


■⑧ 継続できる備え|「点検が苦手でも回る仕組み」にする

備えは、揃えるより続けるほうが難しいです。

・ローリングストック(普段の食品を少し多めに)
・月1回だけ“防災棚チェック”
・電池とモバイルバッテリーは固定の置き場

防災士として感じる行政側が言いにくい本音は、
「完璧な備えより、続く備えの方が強い」ということです。


■まとめ|生活を守る防災は“崩れない設計”を作ること

生活を守る防災は、派手な道具ではありません。

・水の優先順位を決める
・停電時は情報を確保する
・トイレを最優先で守る
・体温と清潔で回復力を落とさない
・温かい食事で安心を作る
・続く仕組みにする

結論:
生活を守る防災は「水・電気・衛生」を切らさない設計です。

被災地派遣の現場で痛感したのは、
生活が守れる家庭ほど、家族の不安が小さく、回復が早いということ。
全部は無理でも、まずは“トイレ1日分”からで十分です。

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