【防災士が解説】発達障害・知的障害の避難準備|学校と家庭で揃える持ち物(“崩れない”設計)

発達障害・知的障害のある子の避難準備は、
水や食料より先に「崩れない設計」を作ることが重要です。

避難所や学校の臨時対応は、音・光・人混み・匂い・予定変更が一気に来ます。
ここで本人が混乱すると、本人も周囲も苦しくなり、支援が届きにくくなります。

だから準備はこう考えます。

  • 物資=生きるため
  • 支援設計=崩れないため

“崩れない”が作れれば、避難の成功率が上がります。


■① 結論:揃えるべきは「安心」「支援カード」「いつもの物」。この3つが最優先

発達障害・知的障害の備えは、一般の防災セットをそのまま当てはめると失敗しやすいです。
優先順位はこの3点です。

1)安心を作る(刺激を減らす)
2)支援を早くする(カードで伝わる)
3)いつもの物で落ち着く(ルーティンの再現)

被災地の避難所でも、物資は遅れて届くことがあります。
それでも落ち着ける子は持ち直します。
逆に、刺激が強くて崩れると、物資があっても苦しくなります。


■② 学校で揃える「学校用セット」(先生が扱えることが条件)

学校は大人数を同時に守る場です。
だから、先生が分かる・扱える・共有できる形が正解です。

■学校用セット(現実に使える)

  • 支援カード(最重要)
  • イヤーマフ or 耳栓(音過敏)
  • マスク(粉じん・匂い対策にも)
  • ウェットティッシュ(衛生+安心)
  • 使い捨て手袋(汚れが苦手な子に効く)
  • 小さめブランケット(体温より“安心”に効くことも多い)
  • 予備の下着・靴下(失敗や汗で崩れない)

「便利そう」より「確実に使える」を優先します。


■③ 家庭で揃える「家庭用セット」(避難の継続を支える中身)

家庭は、避難生活を“続ける”ための備えが必要です。
特に発達障害・知的障害では、生活の乱れが本人の不安を増やします。

■家庭用セット(優先順位つき)

  • いつもの安心アイテム(1つでいい)
  • 服薬・医療情報(薬、診断名、アレルギー、主治医)
  • 食のこだわり対応(食べられる物を“確実に”)
  • 衛生用品(拭く・洗う・替えるで崩れを防ぐ)
  • タブレット・充電(落ち着く動画やルーティンに使える場合)
  • 予備の靴(避難所の床が苦手な子もいる)

食料は「栄養」より「食べられるか」が優先です。
食べられない非常食を増やしても、実戦では役に立ちません。


■④ 最重要:支援カードの作り方(長文は禁止。支援者が1秒で理解できる形)

支援カードは、避難の現場で“言葉の代わり”になります。
ここが整うと、支援が早くなります。

■支援カードに入れる項目

  • 名前・学年・保護者連絡先
  • 特性(例:音に弱い/予定変更が苦手)
  • 落ち着く方法(例:静かな場所、イヤーマフ、同じ言葉で説明)
  • 苦手な対応(例:急に触る、大声で指示する)
  • 服薬・アレルギー
  • トイレ・食事の注意(できる範囲で)

ポイントは「やってほしいことを1つに絞る」ことです。
選択肢を増やすと、現場で動けなくなります。


■⑤ “崩れない”ための環境づくり(避難所で効く工夫)

避難所や学校で、本人が落ち着きやすくなる工夫は次です。

  • 壁際・端の位置を選ぶ(刺激が減る)
  • イヤーマフ・マスクで刺激を落とす
  • 「次に何をするか」を短い言葉で伝える
  • できたことを肯定し、叱らない(崩れを防ぐ)

本人を変えるより、環境を整える方が早いです。


■⑥ やらなくていい防災(失敗しやすいパターン)

  • 一般向け防災セットをそのまま買って満足する
  • 多機能グッズを詰め込みすぎる(使えない)
  • “我慢させる”設計にする(避難が長引くほど崩れる)
  • 食べられない非常食を大量に備蓄する

準備の目的は「立派なセット」ではなく、
本人と家族が“避難を続けられる状態”です。


■⑦ 今日の最小行動(10分で前進できる)

  • 支援カードを紙1枚で作る(箇条書き、短く)
  • イヤーマフ(または耳栓)を1つ用意
  • “いつもの安心アイテム”を1つ決めて避難袋に入れる

この3つだけでも、避難の難易度が下がります。


出典
内閣府 防災情報「災害時要配慮者への支援(避難行動要支援者等)」
https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/youengosya/

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