はじめに
発達障害・知的障害のある子の避難は、「何を持つか」より先に
“崩れない条件をどう作るか” が大事になります。
避難所は、音・光・人の多さ・匂い・予定変更が一気に来ます。
ここで子どもが崩れると、本人がつらいだけでなく、親も判断力を削られます。
だから準備は、完璧な防災バッグではなく、
学校と家庭で分けて持つ「必要最小限」 が現実解です。
■① 結論:持ち物は「刺激対策+安心+伝達」を最優先
発達障害・知的障害の避難準備は、まずこの3つで勝負が決まります。
1) 刺激を減らす(音・光・匂い)
2) 安心を作る(いつもの感覚・いつもの手順)
3) 困りごとを伝える(支援が入りやすい)
水や食料はもちろん大事ですが、子どもが崩れて受け取れないと意味が薄くなります。
先に「落ち着ける条件」を用意すると、結果的に避難が成立します。
■② 学校に置くセット(“親が迎えに行くまで”を支える)
学校に置くのは、家庭より優先度が高いです。
理由は、発災直後に親がすぐ迎えに行けない可能性があるからです。
■学校保管:必須7点(少量で効く)
- イヤーマフ(または耳栓)
- アイマスク(光刺激が強い子に有効)
- マスク数枚(匂い・粉じん対策にも)
- ウェットティッシュ(手・顔が汚れると崩れる子がいる)
- 使い慣れた小さな安心アイテム(触覚グッズ・カード等)
- 小さな飲料(またはゼリー飲料)※普段飲めるもの
- 「支援カード(助けてカード)」※後述
学校側の先生は、災害時も多人数対応になります。
「見れば分かる」「渡せば落ち着く」ものほど強いです。
■③ 家庭で準備するセット(避難所・車中・在宅のどれでも使う)
家庭は、少し厚めでもOKです。
ただしここでも、最初に「刺激対策」を置くと失敗しません。
■家庭:優先度が高い10点
- イヤーマフ(予備)/耳栓(複数)
- サングラス or 帽子(光が苦手な子の現実解)
- 匂い対策(マスク+小さなタオル)※香り付きは好みが分かれるので慎重に
- “いつもの食”の非常食(食感・味が決まっているもの)
- 飲み物(普段飲めるものを多め)
- 常備薬・頓服(ある子は最優先)
- 着替え(肌ざわり優先。タグが苦手ならタグなし)
- 使い慣れたブランケット(触覚で落ち着く子に効く)
- 簡易トイレ(トイレの環境変化が苦手な子に必須)
- 充電手段(スマホ+モバイルバッテリー)※動画・音が安心材料になることも
ここは“防災グッズ”よりも、
日常の延長(いつもの感覚) を持ち込めるかが鍵です。
■④ 「支援カード(助けてカード)」が避難の難易度を下げる
災害時は、口頭説明が難しい場面が増えます。
支援カードは、支援が入る速度を上げます。
■支援カードに書く内容(短く・単語で)
- 氏名/年齢/保護者連絡先(2つ)
- 困りごと:大きな音/人混み/予定変更/触られるのが苦手 等
- 必要支援:静かな場所/イヤーマフ/短い指示/絵で説明 等
- NG:怒鳴らない/急かさない/身体拘束しない 等(必要な場合のみ)
- 落ち着く方法:動画/このおもちゃ/この言葉を繰り返す 等
長文にしない。読む人の余裕がないからです。
「これを渡した瞬間、支援が始まる」形が最強です。
■⑤ 避難を成立させる“家庭ルール”(物より効く)
持ち物以上に効くのは、家族の共通ルールです。
- 「うるさくなったら、まず耳(イヤーマフ)」
- 「人が多かったら、端に移動」
- 「分からない時は“待つ場所”を決める」
- 「合言葉は短く同じ言葉」(例:だいじょうぶ/次はここ)
災害時は、正しい説明より、安心の反復が強いです。
■⑥ よくある失敗(ここを避けるだけで成功率が上がる)
- “普通の避難”を前提にし、刺激対策が無い
- 食べられない非常食だけを揃えてしまう
- トイレの変化を軽視する(崩れる原因になりやすい)
- 「迷惑をかけないように」と我慢させて限界を超える
- 大人が焦って言葉が増え、指示が長くなる
避難は「静かにできる子」向けにできています。
だからこそ、先に対策しておけば、家庭も周囲も楽になります。
■⑦ やらなくていい防災(発達・知的障害編)
- 専用品を揃えないとダメと思い込む
- 全災害対応の万能バッグを作ろうとする
- 子どもを“我慢できる状態”にしてから避難させようとする
必要なのは、崩れない条件を先に用意することです。
■⑧ 今日の最小行動(15分で完成)
1) イヤーマフ(または耳栓)を1つ用意
2) 支援カードを作る(連絡先+困りごと3つ+必要支援2つ)
3) 学校に「保管してよいか」一言で相談する(カードと一緒に)
これだけで、災害時の“詰み”が減ります。
まとめ
発達障害・知的障害の避難準備は、物量ではなく
刺激対策+安心+伝達 の3つで決まります。
- 学校には「迎えまで耐える最小セット」
- 家庭には「いつもの感覚を持ち込むセット」
- 支援カードで周囲の支援が入りやすくなる
続く最小セットが、いちばん強い備えになります。
出典
内閣府「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」
https://www.bousai.go.jp/taisaku/youengo/060328/

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