「いびきが大きい」「寝ても疲れが取れない」「日中に強い眠気がある」。こうした症状の背景にある代表が、睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。睡眠中に呼吸が止まる・浅くなることで、体が十分に休めず、生活の質だけでなく健康リスクも高まります。災害時は睡眠環境が悪化しやすいため、平時に自分の状態を把握しておくことは、体力温存と判断力の維持につながります。
■①睡眠時無呼吸症候群(SAS)の基本
SASは、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる(無呼吸)または浅くなる(低呼吸)状態が続く病気です。呼吸が乱れるたびに体は酸素不足に傾き、脳が覚醒して呼吸を再開させます。本人は気づかないまま「眠りが細切れ」になり、結果として睡眠の質が大きく下がります。
■②よくあるサイン
次のようなサインが複数当てはまる場合、SASの可能性があります。
- 大きないびき、途中でいびきが止まり、息を詰まらせて再開する
- 家族に「呼吸が止まっている」と言われた
- 朝の頭痛、口の渇き、熟睡感がない
- 日中の強い眠気、集中力低下、居眠り
- 夜間の頻尿、寝汗が多い
■③原因になりやすいこと
SASの多くは、上気道(喉の空気の通り道)が狭くなることで起こります。
- 肥満(首回り・喉周囲の脂肪で気道が狭くなる)
- 扁桃肥大、顎が小さい、舌が大きいなど体の特徴
- 鼻づまり(口呼吸になりやすい)
- アルコールや睡眠薬の影響(筋肉がゆるみ気道が狭くなる)
- 仰向け寝(舌が落ち込みやすい)
■④放置すると何が起きるか
SASを放置すると、睡眠不足だけでなく、体への負担が積み重なります。
- 高血圧や心血管系のリスクが高まる
- 日中の眠気による事故リスクが上がる(運転や作業)
- 体重増加の悪循環(眠りの質低下→食欲調整が乱れやすい)
- メンタルの不調(イライラ、気分の落ち込み)
- 家族の睡眠も乱れ、人間関係のストレスになることがある
■⑤検査はどんなことをする?
SASの評価は、睡眠中の呼吸や酸素状態を測る検査で行います。
- 自宅でできる簡易検査(まずはここから始めることが多い)
- 必要に応じて、医療機関で詳しい睡眠検査
「病院に行くほどでは…」と思って先延ばしにされがちですが、検査は原因をはっきりさせ、対策を最短で選べるメリットがあります。
■⑥治療・対策の選択肢
原因と重症度により、選択肢が変わります。
- 生活改善:体重管理、飲酒量の見直し、就寝前の習慣調整
- 寝方:横向き寝、枕の工夫、鼻づまり対策
- CPAP(シーパップ):睡眠中に空気を送り、気道のつぶれを防ぐ代表的治療
- マウスピース:下顎を前に出して気道を確保する方法
- 耳鼻咽喉科的な治療:鼻づまりや扁桃など原因に応じた対応
誤解されがちですが、SASは「気合で改善するもの」ではなく、原因に合った手段を選ぶほど改善しやすいです。
■⑦防災の視点|SASは「体力温存」と「判断力」に直結する
被災地派遣の現場では、寝不足や浅い眠りが続くと、判断が鈍ったり、焦りが増したりして、ちょっとしたミスが起きやすい場面を何度も見てきました。避難所や車中泊では、音・寒暖差・ストレスで睡眠が崩れやすく、SASがある人はさらに負担が増えます。平時に治療や対策を整えておくことは、災害時の「動ける体」と「落ち着いた判断」を守る備えになります。
■⑧今日からできる最小行動
まずは負担が少ない順に、できることから始めます。
- 家族に「呼吸が止まっていないか」を一度だけ確認してもらう
- 仰向け寝を減らし、横向きで眠る工夫をする
- 就寝前の飲酒を減らす、寝る直前の飲酒を避ける
- 鼻づまりがあるなら、加湿や鼻ケアを試す
- 日中の強い眠気や呼吸停止が疑われるなら、簡易検査を検討する
■まとめ|SASは「早めに気づいて手を打つ」ほどラクになる
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中の呼吸の乱れによって睡眠の質が下がり、日中の眠気や集中力低下だけでなく、長期的な健康リスクにもつながります。原因は肥満・鼻づまり・アルコール・体の特徴などさまざまで、検査によって対策を選びやすくなります。災害時の体力温存と判断力のためにも、平時に整えておく価値があります。
結論:
SASは放置せず、サインがあるなら検査で原因を確かめ、合う対策を選ぶのが最短ルートです。
防災士として現場を見てきた実感として、睡眠が崩れると「我慢の限界」が早く来て、判断が荒くなりやすいです。睡眠の土台を整えることは、日常の健康だけでなく、非常時に自分と家族を守る力になります。
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」

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